[「無法バブルマネー終わりの始まり」 −2

 第一章の中の小項目
ーゴーストタウン化が始まった!ー P/56を、
 そのままコピーしてみる。
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いま、金融機関ばサププライムローンによる融資どころか、プライムローン(なんの延滞もない健全顧客向けのローン)
にまで融資をストップしている。 年収五〇〇〇万円を超えるリッチな顧客向けのジャンボローンですら、
新規融資は止まったままである。 それほど過剰反応している、ということだ。

当然、住宅を販売しようにも売れない。新築住宅の適正在庫期問は四ヵ月なのだが、いまや延びに延びて一〇ヵ月である。
中古住宅マーケットはさらに“塩漬け”状態である。 ロサンゼルスでわたしが見たように、売れない在庫が溜まると、
それはそのまま地域一帯がゴーストタウン化することにもつながっていく。 地域の治安、安全という観点でも、
すぐに解決すべく取り組まなければならない重要な問題であるのだが、手の打ちようがない。
サブプライムローンの利上げを今後五年問凍結する」とブッシュは発表した(一二月六日)。
残念ながら焼け石に水にすぎない。 債務者の多くは安く買って、高く売る転売時の利ざや稼ぎのために
サブプライムローンを契約したのだ。 よりよい住生活を満喫するためではない。

これだけマーケットが冷え込んでいると、おいそれと住宅を販売したり、転売できるとは考えにくい。
当然、延滞率のさらなる上昇は避けられまい。 元本はもちろん、利息だって支払えない。
仮に一〇年凍結されたとしても、効果は薄い。 それよりも融資した資金が回収できなければ、
金融機関(=住専)はどうなるのか? もちろん、すべてが不良債権化し、破綻してしまうことになる。

シティがとりわけ大幅な損失を被っているのは、この債務担保証券CDO)について、自己投資分)のほか、
投資家向けの販売在庫を抱えているため、予想外にロスが膨らんでしまったからである。
CDOは価格変動が激しいうえに、相対取引(一対一の取引)のため、価格形成過程も不透明きわまりない。
「本当の価値を評価できる人は少数」(銀行関係者)といわれるほどで、アメリカの金融機関では、
ほとんど格付け会社の信用格付けをべースに価格を計算しているにすぎなかったのである。

メリルの巨額損失を皮切りに、大手格付け機関のムーデイーズ・インベスターズ・サービスが大量のCDOを格下げしたことが、
じつはシティの評価損をさらに膨張させることになった。いわば、CDOの格下げが金融機関の評価損を拡大し、評価損の拡大が
経営を圧迫し、経営の圧迫がさらにCDOの格下げを招いてしまう、という負の連鎖(悪循環)が欧米の金融機関を襲ったのである。

さらにシティの場合、懸念すべきことが一つある。それはオフバランス(簿外)の
SIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)という運用会社が大量の住宅関連証券を抱えている場合、
当局(アメリカ証券取引委員会)はこれを銀行本体の財務から切り離さず、連結対象にするかもしれない、という問題だ。
もしそうなったら、資産が数百億ドル(数兆円)という規模で増えることになるから、自己資本の積み増しが必要になってくる。

今後、これらの証券についてどういう判断をするか、政府介入による救済となるか(おそらく、口先だけの介入)、
シティならずとも固唾を飲んで注目しているのが現在の金融機関の実情であろう。
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 (解)このページの中に、多くの示唆がある。格付け機関そのものが怪しいことも、その一つである。
   殆ど根拠なしに、ただ「シティが発行するから大丈夫だろう」レベルで格付けしているに過ぎない。
   考えてみれば、その混合の中味を彼らは知る由がない。毒の入った饅頭は、混合した少しはマトモの債権も含めて
   不良債権になるのである。それを、格付け機関のラッピングを包めば、誰も信用する。

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