2001年06月10日(日)
[48] 同じ人生を

全く同じ人生を生きたい!
私の常識的判断では、90%以上の人は‘とんでもない!’と即座に答えそうだが。
しかし生きていく上で、全く同じ人生を生きたい!と思える人生を生きることこそ必要な事と、
ある人生論の本に書いてあった。 そういえば父がガンで死を悟ったとき、母に何回も
「もう一度生まれ変わって全く同じ人生を生きなおしたい」と言ったと聞いた。
その時はやはりとんでもない!と自問自答したことを憶えている。最近そうおもえるようになってきた。





   図書館で借りてきて、直ぐにアマゾンで注文をした本である。
   長男が吉川英治の本の中から、人生の言葉を選んだもの。
   なかなか、味わいのある言葉が並んでいる。
   吉川英治といえば「宮本武蔵」「三国志」「新書太閤記」を読んだが、
   これだけ、多くの「心に残る言葉」に再び出会えて良かったが、
   当時読んでも、その深さが解らないものも多かった。やはり人生の経験を多くしてみないと
   理解できないこともある。。
「いつもの時代でも、亡ぶ者が、かならず抱いている滑稽な信念は、(おれは亡ぶ者ではない)という錯覚である」
  『新書太閤記』が、新鮮に聞こえてくる。

    『いのち楽しみ給え』 吉川英明編(講談社) ー読書日記ー
  
 まずは、第一章 生きるということ より
  −−−−

花は、散る支度をし始めるときが、花の一生のうちでもいちばん美しいし、盛りも見える。」
                                「新・平家物語
〜〜
幸福とは その人の心の手のひらがそれを持つか持たないかだけのはなしである。
       幸福とはじつにそんな平凡で無味ににたようなものだ 「草思堂随筆」
〜〜
円(まる) 円   
いくら見ていても、円い線はどこまでも円い。 果てなく、屈折なく、究極なく、迷いなく円い。
この円を、乾坤にひろげてみると、そのまま天地。 この円を縮めてみると、そこに自己の一点がある。
自己も円、天地も円。 ふたつの物ではあり得ない。 一つである。
                                「宮本武蔵」円明の巻
〜〜
無為の苦しさは、無為を悶える者でなければ分らない。
安楽は皆 人の願うところだが、安楽安心の境地とは大いにちがう。
なさんとして、何もできないのである。
                                「宮本武蔵」円明の巻
〜〜
平常の取捨は、熟慮のいとまもあるが、生涯の大運は、突として来る。
(右か? 左かり?)は、多くは急場に迫って来るものである。
                                「新書太閤記
〜〜
 むすめに与ふ
         昭和三十六年夏軽井沢にて
                   或る雨の夜
倖せ何とひと問はば  むすめはなにと答ふらん
珠になれとはいのらねど  あくたとなるな町なかの
よしや三坪の庭とても  たのしみもてば草々に
人生植ゑるものは多かり       「書簡・川柳・緋句・詩歌集」
〜〜

朝の来ない夜はない           座右銘
〜〜

「なべて眼のあたりのことは、うこかし難い、また、変るなき鉄則に見えますが、
どんな現実というものも、じつは間断なく変っています、変るなと願っても、
推移せずにはおりませぬ。人の境遇も、入お互いの心も」 (麻鳥)
                               「新・平家物語』静の巻
                  ーつづく
 ・・・・・・・・・