2005年02月18日(金)
1417, 新シルクロード

 数年前のツアーで、北京からウルムチに飛行機で飛び、そこからタクマカラン砂漠を
眼下にみて、ホータンに渡った。ホータンからはバスに乗り換えて、シルクロード南道を
一路カジュカルに数百キロ走った。

右にタクマラン砂漠を見ながら何処までも続く道は、25年前に
NHKが放送をした時に見たようなシルクロードの景色が続いた。
荷車を牽いたロバと老人の姿が印象的である。
1980年に放送され、大ブームを呼んだNHKの大型紀行番組
シルクロード」が、25年ぶりによみがえった。
前作では平均視聴率20%を超え、喜多郎のテーマ曲も話題を呼び
シルクロードブームを起こした。当時は遠い遠い異国のイメージであった。

25年後の中国の民主化と、経済発展と、西域での遺跡発掘の進んでいること、
などから新シリーズが企画された。日中共同制作の「新シルクロード
(中国編全10回)として、この1月から1年間にわたって放送を始めた。
既に二回放送されたが、見ごたえのある内容であった。

一回目は、1980年から放送され大ヒットしたNHK特集「シルクロード」に記録された
映像と同じ地点にカメラを据え、風景の25年間の変化を描いていた。
さらに映し出された人物のその後を徹底的にリサーチ
・天馬のふるさとで撮影された20歳の花嫁は?
・南疆鉄道の機関車運転手は?
カシュガル大バザールの楽器職人一家は? 
と、以前の続編という構成である。そこには四半世紀を経た現代中国の変ぼうがあった。

第2部ではシリーズの音楽監督を務める世界的チェロ奏者ヨーヨー・マに焦点を当てていた。
彼は2000年からアジアを中心にした音楽家集団「シルクロード・アンサンブル」を結成、
世界各地で公演を行っている。彼らの活動と民族楽器を多用するテーマ音楽の作曲過程を紹介、
シルクロードという言葉は現代にあっては相互理解を意味する象徴的な
言葉として使用されるべき」という、ヨーヨー・マの考えを伝えていた。

パラグライダーでの低空撮影やCG映像、映画のような再現ドラマなどを活用。
「臨場感あふれる歴史エンターテインメントを目指した」とプロジュウサーのコメントもあった。

1月2日放送では、タクラマカン砂漠楼蘭の一角にある4000年前の墓地の遺跡・
小河墓の発掘に密着。約70年前に探検家ヘディンが発見した後、忘れられていた。
それが2000年に再発見され、発掘が始まった遺跡だ。

撮影中に、彫りの深い顔立ちに亜麻色の髪と長いまつ毛を持つ西欧系と思われる
若い女性のミイラが出土した。まだ生きているような美貌には驚いてしまった。
ふた付きのかごを身につけ、中から小麦が出土した。
楼蘭王国以前の推定3600―3800年前のミイラで、
小麦の伝播(でんぱ)の歴史が数百年早まったことになる。

2月14日に放送した2回目は世界遺産敦煌莫高窟(ばっこうくつ)
・北窟の調査や青海湖周辺から大量出土した絹織物の研究成果も紹介していた。
トルファンのベゼクリク千仏洞では、龍谷大学の協力で、
散逸した「誓願図」の巨大壁画をCGで再現をしたプロセスが詳しく紹介していた。

このような、撮影はNHKではなくては作れない規模である。
準国家放送局も必要ということか。
毎月半ばの放送が一年にわたって続くが、また一つ楽しみが増えた。

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