つれづれに

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今日のYoutube
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この10年間書いてきた「同月同日の随想日記」で、気にとまったものをコピーすることにします。 
 あくまで、気ままで、その気になった時ですが・・・

696, 「レンタルの思想」-4
2008年08月22日(金)
  ー人類を救う「レンタルの思想」松井孝典対談集ー
どの対談を読んでも、なかなか難しいが、何度か読むと解かってくるから不思議である。
対談でないと、専門家(特に学者)の書物を読む気にはならないが、対談の場合は意識的に
難しい部分を、噛み砕いて対談をしてくれるから、話しの内容についていける。
私が、この二人の対談で理解できたことは、
・「『人間とは何かを考えたとき』 言語・法・貨幣 という本能と理性の間にある媒介物こそ、
  人間を人間にしているのだ」ということである。 しかし、その貨幣が欲望の肥大を生むのである。
・「貨幣という概念の誕生によって初めて、グローバルな人間圏が定義されるのではないか」
 「所有という欲望の具体的なカタチを貨幣という抽象化し、それがグローバルな人間圏を形成させた」という点である。
 これにインターネットで電子マネーが瞬時に世界を駆け巡るのだから、世界がグローバル化するのは必然。 
  まずは、一番印象に残った部分を抜粋してみた。
ー欲望の倫理学ー     ー 松井孝典 × 岩井克人
岩井克人: 法のない社会では、たとえば他人に殴られた人間は、その人間を殴り返すか、または直接賠償を
要求しなければならず、 そこでは個人の力の大小や属するグループの強弱によって人間関係が支配されてしまう。
しかし、法があれば、その法を媒介として、 殴られた人間と殴った人間との関係は抽象的な権利と義務の関係に
還元されることになる。 それが人間社会を拡大する。
 さらに貨幣が導入されると、人間と人間との間の交換関係がグローバル化する。贈与交換にもとつく共同体では、
交換の範囲が お互いに顔を知っている人間同士に限られるのですが、貨幣の媒介は顔を知らない人間同士でも交換を
可能にする。 地球上にちらばっていたローカルな人間圏が統合され、本来の意味での人間圏というのができることになる。
松井孝典: 地球システムのなかの人間圏という概念を定義する仕方に、二つあると。
一つは物質エネルギー循環的に定義する方法、 もう一つは貨幣という仮想的概念のもとに、
一つの共同体として成立するか条件から定義する方法。
岩井克人:そういうふうに考えると、じつは『人間とは何か』と考えたときに、それは、言語・法・貨幣 という、
 自然でもなく人為でもない人間関係の媒介物、ハイエクの言葉を借りると(本能と理性の間)にある媒介物こそ、
 人間を人間にしているのだということになる。 それは同時に、人間を普遍化させることになります。
  《対談を終えて》 松井孝典
生物圏から人間圏が分化したその時、人間の欲望が解放された、と私は考えた。欲望の具体的表現が所有であるから、
その時に人類の地球の所有が始まった、と以来考えている。しかし、主流派経済学では所有権という概念を用いて、
生物圏の種の一つに過ぎない段階でも、人間の行動の全てを解釈する、という。 貨幣という抽象的概念の誕生によって
初めて、グローバルな人間圏が定義されるのではないか、という指摘と共に頭の中が刺激される。
ただし、未来という時間軸は、所有権という概念をもってしても、その議論に組み込めない。
私風に言えば、歴史を規定する境界条件が変化するとき歴史に基づいて未来は予測できない、ということであるが、
問題の難しさはいずれにせよ、この問題に帰着するようだ。(松井)
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後記:電子マネーとか、地域マネーとか、ポイント制などの企業内マネーとか、
これまでとは違った貨幣が生まれだしてきた。特に注目するのはネット内の仮想世界のマネーである。
ネット内では、共通ルールと、共通マネーと、共通言語が必要となる。それを前提としてネット内の
仮の個々人が成り立つ。そして、リアル世界では実現できなかった欲望が解放される。
  金か~ 使ってこそ金、貯めるものじゃない、欲望を開放するもの。
   ただ仮想的概念でしかないことを忘れないことだ。