読書日記 ~「ガブリエル哲学」とは ー①

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   * 天地が引っくり返る様な御時世の哲学… 「新実存論」とは
 世界は一つに結ばれ、運命共同体になろうとしている反面、手段としての
技術が飛躍的にのびて、取り止めが効かないのが現状。ヒットラースターリン
などの二級、三級クラスの野蛮人が、世界を蹂躙し、集団殺害を、し尽したのが、
100年前。それが再び繰り返されようとしている。『和して同ぜず』が理想だが、
現実は逆。和して痴呆集団に成り下がる。問題は常識が通じるか否かになる。
人間は、悲しい存在で、悪しき流れるのが常。

≪  …Amazon、内容説明より… 
 とうとう岩波書店までもがマルクス・ガブリエルの本をだしてしまった。
カンタン・メイヤスー、グレアム・ハーマンらの思弁的実在論や、マルクス
ガブリエル、マウリツィオ・フェラーリス、シモーネ・マエステローネらの提唱
する「新しい実在論」の流行は続いているようだ。なかでもガブリエルの人気は
群を抜く。なぜだろうか。恐らく本書の新実存主義という部分にあるのだろう。 
近代哲学のベースを持ちながら、それを批判して、認識論に対する存在論の優位
を訴えるガブリエル哲学は、いわれてみれば常識的で理解しやすい。
 ―
構成主義批判
 人間は自らの自己決定における自由な精神をもつ生物なのです。
ここで以前の実存主義なら、「実存は本質に先立つ」とサルトルのように叫ぶ
でしょうが、このスローガンは使われません。 …自分が何よりも優先されると
叫んだところで、人種問題や環境問題などを抱える人類には受け入れがたい発想。
 この発想は、デカルトの「我思う、ゆえに我あり」から派生したものですが、
これがさらに、人々の信念、表象、理論など「心の中にあるもの」から独立して
存在するものなどないという一種の非存在論につながると、構成主義などと呼ばれ
ますが、ガブリエルはこれを拒否します。ガブリエルは我々の日常的な信念を、
表象できれば何でもありの構築主義から守ろうとしているのです。
 ―
自然主義批判
 自然主義とは、科学的な法則のみがすべてを支配するという思想です。
今後とも人とテクノロジーの共生は不可避ですが、その中で、自然主義の法則だけ
で人類を進化させるのは危険です。人はしっかり哲学を持たなければならないのです。
実験や観察だけではニヒリズム相対主義を招く危険があります。客観的なものでも、
絶対に間違えないということはないのです。常に誤りはあるのです。
 ―
ヒューマニズム
 思いあがった主観は否定しますが、自由な自己は肯定します。科学法則による
決定論が力を持つ現代にあっても、人は自由なのです。構築主義ニヒリズムに抗して、
意味ある領域があると訴えます。人間が生きることへの意味を取り戻そうとします。
 以上、私が理解するガブリエル哲学の基本です。これに「新実存主義」と
ネーミングすることは適切に思えます。