閑話小題 ~かくして神様は男を御造りになった! -2

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     * 金沢で学んだこと とは

≪ まず女が居て、そこに助平な神様がいて、女の願いを聞いていた。 
・まずは私と遊んで愉しんでくれて! 
・そして害獣から私を守ってくれる力ある存在。
・そして、何の歓びを満足してくれ。
・この小さな世界から私を連れだしてくれる存在。
・私の、この美を称賛してくれ、美味しい食事を御馳走を供してくれ、
・私の悩み事を解決してくれる存在。

 ところが、その存在が、煩わしくなり、これらを一つにした存在を願った。
そこで神様は、「男」を御造りになった。 …女子は、それ故に、我が儘で、
強欲で、少しノウタリンだが、問題は、それを理解したうえで扱わなければ
ならない動物! ≫
 ―
▼ 特に女性は、一人・独自と、群れの扱いを割切って変えなければ。
 群れの場合は、猿軍団として扱う。個々は丁寧に、群れは上から目線で羊の
軍団のように… たったこれだけの道理を実感しただけでも金沢の一年半に
わたる、経験は充分に価値があったような。

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6965,読書日記 ~ネガティブ・バイアス
2020年04月09日(木)
         < 『しあわせ仮説』 藤澤隆史著 >
    * ネガティブ・バイアス
 他の本にも、ネガティブは生物が生抜く手立てとして、『狩るもの、狩られる
両者の立場の中で、一度狩られたら、お終いだが、狩られなければ、再度の兆銭
が可能のため、狩られないよう否定の念が強くなる』と妙に納得する道理があった。
大家族の中で、末っ子もあり、まずは自分の身を守るのが先決。次は絶対権力者の
両親の傍に身を置き、身を隠す術を得ていた。長女の人と何やら妙な親近感が…。
それは親代わりのためである。
ネガティブ・バイアスを誰も持っているが、それが他者に向かうと強烈に働く。
それ故に、誰かネガティブが見つけると、動物的本能で、集団で襲いかかる先頭
の犬コロになりたがる。それが、如何に自分にとってマイナスかが分らない。
ここで、それを埋め合わせるためには、
<結婚生活の相互関係において、一つの致命的な破壊的行為の埋め合わせに、
少なくとも5倍の善行もしくは、建設的な好意を必要とする。 金融取引や
ギャンブルにおいて、ある額のお金を得る快は、それと同等のお金を失う苦痛
よりも遥かに小さい。… 一度の殺人を埋め合わせる為には、人命を救うような
英雄行為を25回しなければならないと見積もられている。 人の心というのは、
良い物事に比べて、同程度に悪い物事に対して、より素早く、強く、持続的に
反応すると見積もられている。>

< ・古来の哲学も、現代の自己啓発本も、
「人生や幸福とは、私たちの心の創造物である。他人や外的な条件を変えるので
はなく、自身の心構えや物事の受け止め方を変えれば、人生は変わり幸福になれる」
ということを繰り返し言っている。 しかし、「心を変えよう!」と決意して、
これまでのやり方やものの見方を変えようとしたところで、数週間もすれば元に
戻ってしまうに違いない。
 象使い(意志/制御されたプロセス)が「変わろう」と決意したところで、
象(感情/自動化されたプロセス)を変えることが出来なければ、意味がない。
必要なのは、象使いの決意よりも、象を訓練し直すことである。
 心を変えるために必要なことは、頭で考えて変わろうとすることだけでなく、
時間をかけながら行動習慣を変化させることである。(39-43.)
 人間の脳内にも動物と同じように「好悪計」が存在する。味覚や視覚だけで
なく、単語に対しても「好き/嫌い」の判断を行う(「希望」や「楽しみ」など
の単語は「好き」と判断し、「恐怖」や「退屈」という単語は「嫌い」と判断する)。
また、自分の名前などの見慣れたものは「好き」と判断し、自分の名前と響きが
似ている人や仕事も「好き」と判断する。ジョンはジェーンを結婚相手に選び、
デニスは歯医者になり、ジョージはジョージア州に引っ越す確率が他の名前の人
よりも高い。結婚や職業という人生において重要なことも、名前の響きという
些細なことに影響される可能性がある。(43-46.) >
 
 ――
▼ 事業が、そうである。10年以上もエネルギーと資金を投入したのに、一瞬で
 快・不快もないまま、消え去ってしまう。何度も何度も失敗しても、凝りもせず
繰返し… 野村監督の愚痴ではないが「不思議な勝ちはあっても、不思議な負けは
なし。ネガティブ・バイアスも必要である。逆に、いいことを意図的に心の中で
長引かせることが、その体験を長期記憶に留める助けをする。 そのような
「いいことを愛で味わう」体験を何十回、何百回と繰り返し重ねていくことで、
ネガティブなことに過剰反応しない脳の回路を作っていくことが可能になる。
良いか悪いかは別として、ごく身近に、そういう人がいる。近未来に楽しいこと
しか頭にない。それ以外は、何事も見えない。それも長期脳に納めて、次の瞬間
には、忘却の彼方へ。こうなれば、魅こと、としか言いようがない。近所の原信の
レジで曰く… 『この時間に何時もいらっしゃる…御近所ですか? 羨ましいは、
私など知り合いの目が嫌で、わざわざ遠くから来ているのに!通勤時間を取られ!』
…そこには既にネガティブ・バイアスが掛かっている。割引時間にレジを並ぶには、
近所の目があるが、何の気にしないのがポジティブがある。気にするのは、気に
なるからである。「ユニクロ」を着ることに躊躇するのは、普段着=みすぼらしい、
と思うからである。重ね着と、普段着の世界的ブランドと知ればこそ、堂々と
着れるのである。これに近い現象を、屡々、経験する。特に地元に籠ってから!
 恐らく、このブログ内容に対して、多くの批判があるのだろうが… 
「私ってのは、この程度!」の自覚があるため、今さらか。

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6598,閑話小題 ~老いについて
2019年04月09日(火)
              <「四苦八苦の哲学」永江朗著>
    * 漫画家は姿勢によって年齢を描き分ける
  永江らしい厳しい言葉の羅列である。老いた自分の姿と顔を鏡で
 みる度に、愕然とする日々。とはいえ、老いは時間の問題で、誰の頭上にも
降り注ぐのはごく当然のこと。長生きもプラス面もマイナス面もある。長生きは
死損なった状況でもある。
≪ ボーヴォワールは、老いについて
 ヒポクラテスによれば、人間が頂点に達するのが56歳と、
  アリストテレスは肉体の完成が35歳。魂の完成は50歳とする。
 ダンテによれば、人は45歳で老境にさしかかる。
 今日の興行的社会を諦念退職させるのは一般に65最である。』
ある漫画家は姿勢によって年齢を描き分ける。これは生きる姿勢にも通じる。
 更に… ボーヴォワール
『老人は社会からみれば猶予期間の死者にすぎない。』
『ジジイよりババアと言われた方が厳しい。雌は獲物。若さが枯れた老女は…』
彼女は、ジュアンド―の言葉を紹介している。
『半世紀の間おれは20歳でありつづけた。いまやこの不当所得を
 返上するときがきた。』と。
『現在において、われわれは、われわれの過去を乗越える投企によって
 未来を志向する』 ≫
著者の永江は<人間にとって、死ぬのは二人称と三人称の死かしかないが、
ところが老いは違う。三人称あり、二人称あり、一人称まである。
笑い話がある。『50年ぶりの同級会に出席したら、じいさんばあさんだった」
そう笑う自分が抜けている。 

▼ これを書き続けてきた御蔭で、精神の起伏は少ないが、それでも同年代の
 老いを合せ鏡で見る度に、数時間としても、突如として、老境の自分に愕然
とすることが多くなった。老いそのものは時間経過の状態で、問題は、その受け
止め方。 時間経過とともに、長くなっただけ過去は重くなり、我々の未来は
短くなる。偶然だが、先日、10年後の自分が、その時節の自分の書いたテーマを
読み返しているショートショートを書いていたが、明らかに下り坂のギアダウン
した状態は間違いないためか、重い気持ちになってしまったが、それが面白く
もあった。そこでは、「いま、ここ、わたし」への集中、永遠の感覚が救いに
なるようだが。 その永遠も妄想ですか?

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6235,閑話小題 ~変じゃないかい?
2018年04月09日(月)
   * 不可解な? この絶妙なタイミングに…
 何か不可解な事件が起きた。大統領の自宅のあるビルの火災にしては、
マスコミは騒がない。このタイミングからして、家族に対する無言の威圧になる。
 ~ネット記事によると
【 トランプ米大統領の自宅があるニューヨーク中心部のトランプ タワーで
 7日夕、火事が発生し男性1人が死亡した。消防士4人も負傷した。原因不明。
大統領は不在だった。火災が起きた際、トランプ氏やメラニア夫人はワシントンに
滞在中で、親族はビルにいなかった。同タワーはトランプ氏が2017年1月に
大統領に就任するまでオフィス、住居として使用。現在もトランプ氏の私邸と、
長男らが経営する不動産会社トランプ・オーガニゼーションの本社がある。
 市消防局によると、原因は調査中。火が出たのは分譲住居部分で、家具などが
燃えて室内はほぼ全焼したという。火災発生時に50階(58階ビル)の窓から赤い
炎が見られ、タワー付近は大勢の人が集まって騒然となった。(2018/04/08) 】

寅さん:時が時だけに、何か薄気味悪い時に、嫌な火災が起きたよな。
大家さん:だろう!人の出入りの激しいビルの中で、チェックは難しいはず。
  北朝鮮からすれば、斬首作戦とか言ってるが、他人事ではないよ。
  ドローンで、強力爆弾を積んで突っ込めば、それで済む話。
  大たい、そんな物騒な場所に大統領になっても住み続ける方が変ですよ。
熊さん:俺だって、その位のことは常識と思うよ。どうしたのトランプちゃん。
寅さん:俺もトラだけど、俺と同レベルかいな。 NHKの番組で、解任の続く
  ホワイトハウスの実情を取上げていたが、共和党内も、この大統領の存在
  に、苦慮していると言っていたね。あれは間違って泡沫がロシアの力を
  借りて、大統領になってしまった漫画の世界だね。
大家さん:でも、無謀な政策の実行の段になると支持率が上がるということは、
  やはり、アメリカの本心を、そのまま実行しているだけということですか。
八つぁん:少し話が変わるが、北がオリンピックを機会に、中国に擦り寄ったり、
  韓国や、トランプ大統領と会談というけど、その前に決裂の可能性が高い。
  で、このタイミングに火災だろう。ミサイルの外に、この手もあるかも?
  の予告ということ? とにかく、あそこは移動した方がいいね。
大家さん:時間稼ぎの手段ぐらいは、知っていて、早期に決裂するのが、トランプ
  大統領の思惑さ。ロシア取引疑惑と、無能隠しに、戦争しかないもんな。
八つぁん:金ちゃん、やり過ぎだったよ。あれじゃ核戦争になっても仕方ないよ。
  最悪の事態には、最悪の役者が揃うというけど、よくぞ揃った物。これは
  歴史に残る迷場面ですよ。
熊さん:俺もそう思うよ。これまで、騙しっぱなしだもの北は。いくら何でも、
  もうだまされないよ。で、決裂さ。
大家さん:トランプ:金対談までか、その前の、韓国大統領:金対談までは
  大丈夫だろうが、やはり、緊迫した事態を注視しておかないとね。
 
 追) 何とかなるのかな~ 本当に?
  あれから7年、何とかなったじゃないですか。
――――――
4406, 大丈夫、なんとかなるさ
2013年04月09日(火)          
  * よい先生、わるい先生  ー「大丈夫、なんとかなるさ」近藤勝重著 
 著者は毎日新聞論説委員をしており、「文章をうまく書く秘訣」などの
レポートを読んだことがある。「随想は想いを書くもの。その想いを書くとは
思い出を書くこと。多くの経験の中で、記憶として残っているのは、その人に
とって大きなインパクトのあったこと、それを書きなさい」という論に、
ハッとした。 これは、毎日新聞の夕刊に「しあわせトンボ」に5年前から
二年半の間、連載されたエッセー。なかなか味わいがある。 
  ーまずは、心に響いたものから、取り上げてみる。
≪ 司馬遼太郎さんが学校嫌いで図書館が好きだったことは有名だ。
 それは中学一年の英語リーダーで先生にニューヨークの、地名の意昧を質問
したことからはじまる。なんと先生は「地名に意味があるか」と怒声を上げた
という。司馬さんは帰り道、市立図書館に寄ってニューヨークの意味を知る。
独学癖がつくようになるそもそもだが、一方で「いい先生につくに越したことは
ない」とエッセーで言い添えている。 いい先生というと、アメリカのある学校
で数学を教えていた先生の話を思い出す。その先生は数学を教えることが自分の
仕事だと思っていたが、ある日、「私の仕事は子供を教えることである」
と思い直す。つまり科目「数学」から科目「子ども」へのチェンジである。
「数学」を教えていれば子どもに完全な答えを求める。しかし「子ども」
を教えるのだとなると、それは最終の目標ではなくなる。やがで子どもたちも
変わってきて、成績がぐんぐん伸びたエディという子はこう答える。
「先生に習うようになっでから、自分が好きになったんです」 
「こころのチキンスープ」で知った話だが、・・・ ≫
▼「数学を教えるのではなく、子供を教えるのが仕事」は、さすが。 
 この随想日記、「自分のために、同調したこと、心に響いたこと、記憶に
残したいことなどの雑記帳・記録帳」と割り切っている。忘却のためのメモ帳
ということ。そう割り切ってしまえば恥も外聞も何もない。「偉そうなことを
書いている割に全然、成長の跡などみえないじゃないか」と言われれば、
「全く、その通り!」である。未来の自分は、現在、そして過去の自分の
子供と想定。 その子供のために書き残すと思えば、逆に手が抜けなくなる。
「未来の自分は、現在と、過去の子供」という言葉、我ながら言い得て妙。
  とすると、過去の自分は現在の親になる。あまり良い父親ではない? 
まあ、いい、この子(私)を見れば、仕方がない! 
・・・・・・
5503,エヴェレスト 神々の山嶺 ―映画感想
2016年04月09日(土)
 「山岳遭難もの」は、苦手だが、『映画道』という言葉があるなら、
この『エヴェレスト 神々の山嶺』を避けてはなるまいと、シネマの日も
あって、昨日の昼ごろ、心を奮い立てみてきたが、これが思いのほか、面白い。
私の邦画の評価で95点は上の上。 人間の極限状況は、そのまま、人生道
にも通じるところがある。  ~まずは、内容紹介より
《 日本のエヴェレスト遠征チームに参加していたカメラマンの深町誠は、
 滑落事故で仲間を失い、登頂は中止になってしまう。
行き場を失い、ネパールの首都・カトマンズを彷徨っている中、骨董屋で
ある古いカメラを発見する。それは、1924年6月8日、エヴェレスト登頂に挑み
ながらも行方不明となったイギリスの登山家ジョージ・マロニーのカメラと
思われるものだった。 マロリーがエヴェレスト初登頂に成功したかどうかと
いう登攀史上最大の謎に魅せられた深町は、証拠となるカメラを追い、
一人の男に辿り着く。消息不明だった伝説のクライマー、羽生(はぶ)丈二。
彼はなぜ日本から姿を消したのか?その男がなぜカトマンズにいるのか?
「天才クライマー」と呼ばれながら、無謀で他人を顧みない彼の孤立した
過去を調べるうちに、深町はその生き様にのみ込まれていく。そして、羽生に
人生を翻弄されながらも、彼を愛し続ける女性・涼子と出会う・・・。
二人の男と、一人の女。それぞれの想いが交錯する中、己の人生を賭け、
世界最高峰の“神々の領域”へと足を踏み入れる男たちの挑戦が始まるーー。
                  岡田准一阿部寛尾野真千子、》
 ~登山家の[羽生丈二]の言葉が良い。
――

足が動かなければ手であるけ
てがうごかなければゆびでいけ
ゆびがうごかなければ
歯で雪をゆきをかみながらあるけ
はもだめなら
目であるけ
目でゆけ
目でゆくんだ
めでにらみつけながらゆけ
めでもだめだったら
それでもなんでもかんでも
どうしようもなくなったら
ほんとうにほんとうに
ほんとうのほんとうの
どうしようもなくなったら
もうほんとうに
こんかぎり あるこうとしても
だめだったら

思え
ありったけの
こころで思え

―想え。           [羽生丈二] 
――

そこに山があるからじゃない。ここにおれがいるからだ。
ここにおれがいるから、山に登るんだよ。 [羽生丈二]
――
▼ 魂から絞り出た言葉が、これか、と思わせる内容。お勧めである。

・・・・・・
5138,閑話小題 ~二人の旅路
2015年04月09日(木)
  前日に続いて見た、プレミアムアーカイブスHV特集
『二人の旅路~日中 激動を生きた京劇夫婦~』も重厚な内容。
 日本人の父と、中国人の母と、中国人の夫を持つ、「事実は小説より
 奇なり」を地でいく日本女性の壮大な物語。 ~その概略から
≪ 中国・京劇のスターだった夫婦、梁嘉禾さんと柴田真理さん。
 およそ20年前、残留孤児の妻と日本に移住。そのとき、夫は中国京劇の
 最高峰・国家一級俳優の座を捨てた。妻は「夫のすべてを奪ってしまった」
 と悔いるが、夫は「あなたといる今が一番幸せだ」と語る。
 日中戦争後の中国、文革などの激動の時代を生き抜いた二人。2010年秋、
 逆境を乗越えた末、夫は20年ぶりの舞台に立つ。~2011年放送。 ≫
  ~ネットに、心のこもった投稿があった~
《 このTVを観た後、一夜興奮して眠れなかった。涙がとめどもなく流れ、
枕をぬらした。1945年8月6日、麻里さんの両親は敗戦直前の上海で結婚した。
父は東京大学卒業、三菱商事武漢に勤めるエリート社員、母は裕福な20歳の
中国人美女、しかし7日後日本の敗戦、1946年父は強制収容そして日本へ強制
送還、その後は消息不明、中国人の母も日本人と結婚した罪で2年間の投獄、
柴田麻里さんが10歳になった時、母は人々から素性を隠し中国東北部
貧農へ再婚、その後、麻里は柴麻里と中国名に改名し、京劇女優になった。
しかし、文化大革命の真っ只中、麻里は日本人の子であることが暴かれ 
いじめられ、傷つけられ、紅衛兵にも選ばれる事はなかった。そんな苦しみ
の中、京劇名優梁さんと出会い 恋愛・結婚。しかし、2人は一緒に住む事も
許されず、3年間の別居。再び、麻里は素性を隠すように、西の果て、遼寧省
に移り 夫婦で京劇に徹する。夫 梁さんは 国家1級演劇家として、将来を
期待されたが、日中国交回復後、中国残留孤児として妻の麻里さんは、京劇
仲間から「日本に帰れ」と、苛められ 激しい追い出し環境に耐え切れず、
2人は日本に住む事になる。そんな中、父はウルグアイで亡くなったと知る。
もう日本での親族発見も叶わず、福岡市の残留孤児仲間と一緒に住むうち、
柴田麻里さんは身体を壊し、始めた中華料理店も閉店に追い込まれ、日本政府
の僅かな援助金で、貧しい2人の生活は続く。そして昨年、麻里さんの母親は
亡くなり、母の散骨と、梁さんの京劇記念講演の為、再び遼寧省に向う。
2人の長い、辛い人生を象徴する、大地を走る列車の窓から見る夕焼けの空は
遠く霞んでいた。あの日中激動の下に、押しつぶされていった2人の人生、
哀しい人生だ、しかし誠実な夫と、美しい妻の愛情は今も、2人の人生を 
格調高く 結びつけている。美しい2人の後姿はいつまでも忘れられない。》
▼ 家内と、互いに見つめあうリタイア後からの生活の中で、生きること、
 老いること、夫婦とは、愛とは、厳しさ、優しさとは何かを考えてきた。
その答えが、この物語にあるような気がした。苦難は人生に付きもの。
それに日々、前向きに立向かうしかない。 一日一生の覚悟。