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閑話小題 ~『家ピアノ』

   * 自宅から愛を込めて!
 NHKの世界の空港・駅・街角に置かれた“自由に弾けるピアノ”。これは、
その自宅にアレンジしたもの。 このコロナ禍の現在、自宅を主に、撮影された
ピアノ演奏。人々が思い思いに音楽を紡ぎ、行き交う人が耳を傾ける。
 一台のピアノから生まれる“一期一会”の感動…  ノーナレーションと定点
カメラで見つめる。それを自宅と仕事場にアレンジした内容。
一曲一曲に、それぞれが思いを込めてピアノをひく!
  ~NHKの番組説明より~
【・コンサートの自粛が続くなか、音楽を愛する著名人が自宅ピアノで演奏!
 久石譲千住明東儀秀樹ら世界的音楽家から俳優、お笑い芸人まで!
どんな曲を奏でる?出演者ほか【出演】久石譲千住明東儀秀樹,東儀典親,
ふかわりょう,森村献,ゆりやんレトリィバァ,田代万里生,西郷真悠子
 駅・空港ピアノの番外編。自粛生活を続けてきたアーティストが「皆を勇気
づけたい」と愛用ピアノで熱演!
 久石譲は大ヒット映画の主題曲を!千住明大河ドラマのテーマ曲を披露。
雅楽師東儀秀樹は親子で息の合った、驚きの連弾。タレントふかわりょう
イベントで弾く予定だった曲を。さらにラテン音楽の森村献、俳優・田代万里生、
お笑い芸人のゆりやん、俳優・西郷真悠子が素敵な音色を響かせる!】
 ~
▼ 有名人とはいえ、ピアノの背景の部屋が豪華! …そしてチョイ観も可能!
その中でとりわけ…東儀秀樹 ・父子の演奏が圧巻。 これをテーマにした結果、
個々人の芸術家がYouTubeで、渾身の演奏や、作芸を広く発表できることが分った。
YouTuberといえば、ウバーイーツと兼用したネタ探しが… 互いの手持時間の
有効活用になる。 …空巣などの悪用も考えれれるが、身元が割れているため、
それはないか?、

♯:新しいスタイルの配送サービス「Uber Eats」は、今多くの地域で注目を
 集めています。アプリによる簡単な注文、多くの飲食店との提携、スピーディ
な到着など、さまざまなメリットを持つことから今後も魅力的なサービスとして
広まっていくでしょう。

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6684,読書日記 ~哲学の女神との空想上の対談 ―1
2019年07月04日(木)
                 『哲学の慰め』ポエティウス著
   * 何とも驚かされる対談
 AC6世紀に、獄死を前に、哲学の女神と対話する方式が、自らをTPOSの
場において、哲学の女神との対談方式で考えるのだから何とも斬新、かつ迫真
の説得力を持つ。
  ~ まずは、この本の概要から…  (ネット検索より)
≪ ◉ ポエティウスは5世紀の終りに後期ローマ帝国の貴族の家庭に生まれる。
権力者の家系にあって、恵れた環境のなか最高の教育を得て最も高い官職につく。
順風満帆の人生であったが、政変に遭い、死刑を待つ囚人に身を落としてしまう。
 本書は獄中の中で、彼が空想の中で描いた「女神」との会話を通して、
人間の自由意志について、対話を重ねていく。
不幸のどん底に落とされて、それでも神の意志はあるのかと彼は尋ねる。女神は
‘神は全宇宙を苦もなく動かすが、運命は個々の人間の動きに影響を及ぼすに
過ぎない’と答える。 神の意志と調和することが尊いのであって、自分の力で
生きていると信じている者は、最後まで運命にしばられるという。運命に作用
される限り、不安と混乱に踊らされる。当書も身体の自由は奪われても自由に
到達する境地について語られており、「幸福」の本質を描いた名著である。

◉ 当時のローマは東ゴートの支配下で、ボエティウステオドリック大王の信任
を得て執政官などを勤めました。しかし真偽はわからないが、そのうち反逆罪で
訴えられ、刑死します。本書は牢獄の中で失意のうちに書かれたもの。
最初は牢獄の中で、芸術の女神(ミューズ)と一緒に嘆く自身の描写から始まる。
そこでいきなり哲学の女神が現れて、そのような嘆きはおまえにふさわしくない、
などと言い、ミューズを追い出し、ボエティスを激励します。
これ以降、哲学の女神とボエティウスの対話形式で、ギリシャ哲学が語られる。
・まず、富や官位などは真の善とは何ら関係なく、牢獄に入っても、おまえは
何も失っていない、というストア派的な主張が述べられる。
・それから、悪が栄えて善が虐げられる、というボエティウスの不満に対して、
悪は無知・無力であり、すべては一にして善なる神の秩序の中にあるという、
エレア派&プラトン的な教えで女神は慰めます。
・最後に、神の秩序による必然と、個人の自由意志の共存が説かれて終わります。

◉ ボエティウスキリスト教徒のはずですが、全編をとおして、キリスト教
教えはまったく出てきません。神という言葉も、キリスト教の神ではなく、
汎神論的な神を思わせます。
形式は論述と詩が混じっており、詩にはギリシャローマ神話の要素がふんだん
に散りばめられています。キリスト教が古代世界を制覇した6世紀に、しかも死に
直面した状態で、ここまで古代的な形式と主張が守られていることに驚かされます。
まさしく「最後のローマ人」と言えると思います。  ≫

▼ 中心的テーマは… 『自由意志』。身体は自由を奪われても心は自由という
 囚人が到達した境地こそ、成熟の本質ということ。これこそ、幸福の本質である。
何があっても、心の自由こそが、人間のあるべき姿である。何でまた、自分を
縛っている! 自らしか、その首輪と紐を外せない。それ付けて何処をうろつく?

  ~次回は、「哲学に女神」の言葉…

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6321閑話小題 ~今年も半期の終了 -3
2018年07月04日(水)
   ★ YouTubeで印象に残った映像
・今年のYouTubeの映像で驚いたのが、ドバイの「ドローンのレース」。
ゴーグルを被って運転席に座ったゲーマーが参加する。画像は隼のように
倉庫のような空間に、780メートルのレース場の空中を10数周も突進する。
私はゴーグルを持ってないが、ゴーグルを被った映像なら迫力が違うのだろう。
36チームが参戦し、最後に勝ち残った4チームが決勝戦を争う。総額100万ドルの
賞金という。 そこで、15歳の少年が優勝をしたが… 独り部屋で異空間に引き
こまれ、不安さえ感じていた。ドローンとゴーグルの組合せの妙を、そのレース
で見ることになった。
・いま一つが、アルプスの頂上の現場で、ゴーグルを被り、ドローンを飛ばし、
頂上の自分たちを撮影した映像が、何とも不思議な感覚にさせる。 現実と、
バーチャルの融合。天使の目線で、自分の姿をみる。何とも奇妙な感覚。
・この7月中旬に、ドバイでドローンタクシーが、実際に営業開始をするという。
ニュースの映像を見る限り、まだまだ初期段階のようだが、面白い!
――
   ☆ 理想的敗退のゲーム!
 日本時間の7月3日に決勝リーグのT1回戦でベルギーと初の8強進出をかけて
激突して2対3で敗退した。直前、英メディアはベスト16のプレビューを実施。
FIFAランク3位の強敵と対戦する日本の圧倒的不利を予想していた。
日本チームの実力からして、負けは当然。負け方が2点先行し最終に3点とは
絵に描いたような展開。ランク62の日本が、ランク3位のベルギーに本気本領
を出させて、負けたということ。
 先日のポーランド戦での最後のパス回し、正否の議論がされたが… 
あれは当然の判断。監督の使命は決勝リーグに勝ち上がること。観客にゲーム
を楽しんでもらうために選ばれたのではない。何はともあれ、進出を確実に取り
にいくのは当然の理。「正・反・合」の『反』を立てるため言ってるだけ。
その場をも盛り上げる遊び言葉と、現実はべつもの。理想的結末としても、
日本は出来過ぎ。

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5224,「エリック・ホッファー自伝」 ~②
2015年07月04日(土)
           「エリック・ホッファー自伝」中本義彦訳
   * 希望でなく勇気  
 希望は誰も持つが、いざ実行となると難関が立ち現れ、萎えてしまうもの。
私の経験からして、勇気は「呼吸」である。大きく吸い込み、息を止め、一歩
を踏み出す。そのためには普段より「否定1に対して、肯定3」の思考と行動
習慣が必要になる。  ~その辺りから
自己欺瞞なくして希望はないが、勇気は理性的で、あるがままにものを見る。
希望は損なわれやすいが、勇気の寿命は長い。希望に胸を膨らませて困難な
ことにとりかかるのはたやすいが、それをやり遂げるには勇気がいる。
闘いに勝ち、大陸を耕し、国を建設するには、勇気が必要だ。絶望的な
状況を勇気によって克服するとき、人間は最高の存在になるのである。>
「希望」と「勇気」。どちらも自分の先に対する「可能性」への心の動きだが、
「希望」が思考に留まるものなのに対し、「勇気」は行動を伴うもの。
しかし、自己欺瞞としても「希望」が必要だ。そして、それを実現するには
「勇気」が必要になる。ホッファーは、ここで、ゲーテの以下の詩を取り上げる。
《 財産を失ったのは──いくらか失ったことだ!
  すぐ気をとなおして、新しいものを手に入れよ。
  名誉を失ったのは──多くを失ったことだ!
  名声を獲得せよ。
  そうすれば、人々は考え直すだろう。
  勇気を失ったのは──すべてを失ったことだ!
  そのくらいなら、生まれなかった方がいいだろう。」
               「「温順なクセーニエン」第八集) 》
▼ 「正中心一点無」の言葉が、私の行動の一歩を踏み出す時に、
 思い浮かべる言葉であった。「希望」と「勇気」の間には深い溝がある。
兎にも角にも、その向こう側に向かって飛び越えなければならない。
ネットで「勇気」のポジティブな対語(反対語ではなく対になることば)
として、「智恵」とあった。また、「慎重」も。「智恵」は、「勇気」の
中から生まれ出てくるが、事前の「智恵」も必要である。それが「準備」と
いう計画の具体的練り上げへのダウンに繋がっていく。

・・・・・・
4859,「事業人生を決心して45年」の語り直し ー27
2014年07月04日(金)
  * 15年の準備期間の総括! ー2
 この準備期間の15年は、緻密に練られたようだが、実際は成行きの要素
が多かった。事業を立上げ、それを転売をする度にアップスケールする創業を
求めた結果が、自然に準備そのものになった。私の性格が外交的というより、
内省的のため、その都度、非常な緊張感が付きまとっていた。医者に診て
もらったら、恐らく、自律神経失調症か、対人恐怖症と診断されただろう。
人間は気づくかどうかだが、全ての精神症の要素を持った総合体で、問題は、
そのバランス。その中で、特に初対面の相手との対面が苦手だったが、いざと
なれば腹は据わるもの。その「いざ」の場面から、自ら逃げるから、精神症
から精神病に陥ってしまう。絶対的父親の元で育った八人姉兄の末っ子が、
父親のような創業を、何を血迷ったか求めれば、精神的限界に立たされて当然。
何とか、その都度、本屋の中の天使に導かれ手にとった本で、乗り切っていた。
 その中で、様々な場面で、多くの判断が求められた。
・大きな問題の一つが、連れ合いである。 右腕タイプか、全く商売の興味を
 示さない家庭的な人? 結果として選んだのが後者タイプだったが、
 どうだろう? これだけは答えが出ない人類永遠の課題! 右腕タイプは、
 事業が拗れた場合に、相打ちという自滅の危険が生じる。巷に多々みかける!
・次が、現場の要の人材である。これが、なかなか定まらず、直前まで手こずって
 いた。職安やリクルートを介して何人かと面接をしたり、数ヶ月間、使って
 みても、相性が合うのが見つからない。大問題だったが・・
・出揃った事業資産は、駅前の土地(当時の時価1億円)と、長岡郊外の更地
 二ヶ所と、現金1億(千城台の売却)。そこで《事業資産は、博打場に投入
 した掛札!手元に戻らないと、割切ること!》と、何度も自分に念を押す!
 それまでの実家の急場の助っ人の立場が、今度は、全てが直に跳ね返ってくる
 白刃の真只中! 本番の創業が始まる。出発点で、5百%の成功確率の準備を
 整えていた手ごたえは、あった。しかし最後は「後は 野となれ 山となれ!」
・・・・・・
5954,閑話小題 ~東京都議会選挙で
2017年07月04日(火)
   * 都議会選挙で自民が惨敗
 都議会議員選挙、予想の過半数を遥かに上まわる6割減で自民党の惨敗。
それでも23議席も取れただけでも、まだよかった。国会も、これで大荒れに
なっていく。自民の大勝の緩みの結果が、そのまま結果につながった。
阿部首相の明らかな○○を、力で覆い隠すほど、露わに浮かび上がっていた。
映像世界の恐ろしさである。とはいえ、台湾人の女党首の蓮舫では国風に
そぐわない。
 ―
   * 将棋は、藤井4段が初黒星
 将棋で、新人の藤井4段が、29連勝で終わりになった。
対局をした棋士の一人が、彼を、『小学校二年生が、東大試験の答案を20分
で終え席をたったようなもの。それも全問題、正解で… 』と宣っていた。
これから60年生きても、74歳。やはり羨ましいが、早折も有り得る。
 ―
   * 昨夜は、中学同期会の飲み会
 昨日の午前に電話が入って、昨夜は中学同期会。12人が出席。数ヵ月先の、
泊りこみ同期会の幹事会で、これで今年二回目。最低要員の確保もあるが、
年に4~5回も出席をすれば、故郷に戻ってきた感覚になると同時に、その度、
己の存在感の劣化と、老化が彼らを透して見て取れるのは、仕方がない?… 
三次会は控えて帰えれば23時過ぎ。その都度、一期一会の念が強くなる。

・・・・・・
5589,閑話小題 ~『エンド・オブ・キングダム
2016年07月04日(月)
   * 「離脱ドミノ」~英国の次はフランスか? 
 来年はフランス大統領選とドイツとベルギーも総選挙がある。
これまた、離脱か、残存かを問う選挙になるが、英国に続いてフランスが
離脱をしたらドイツを核とした新たは枠組みの経済圏が出来るのか。
その上、ドイツも離脱をしたら、EUが消滅をする。連鎖の可能性から
して、どうだろう。 先日のスペインの選挙では、EUの維持を選んだが。
 ~ネット上に、以下のレポートがあった~
≪ Brexitショックを消化しつつ、一定の安定感を取戻したマーケット。
 しかし、市場は先読みする。英国が引き金を引いた「離脱ドミノ」懸念。
Brexitの次はどこか。そこで、最も切迫感のあるリスクを抱える国が
フランス。来年5月の大統領選が、事実上の英国型国民投票と化す可能性がある。
既に、オランド大統領の支持率は10%台前半にまで急落中。いっぽう、
予想される対抗馬の国民戦線党首ルペン氏は20%以上の支持を得ている。
フランス国民の不満がうっ積しているのだ。解雇条件緩和などを盛り込む
労働法改正に対し、労働者は激しく抵抗している。清掃関係の労働者が
ストライキしたときには、パリの街角がゴミの山となり、異臭が漂った。
自然も味方せず、異常気象による集中豪雨がパリを直撃。セーヌ河の水量が
通常より6メートル以上上がり、洪水が発生。一部の地下鉄駅は水没した。
「それもこれも、そもそもEUのせい。」理不尽なまでのEU悲観論は高まる
ばかり。ピュー・リサーチセンターによれば、フランス人の66%がEUは
経済的に失敗と考えている。反動で、移民排斥への共感度は高まる。
「選挙で選ばれていないEU本部の人たちにより構造改革を押し付けられた。」
との反感も強まる。しかし、ドイツとともにEUを礎として支える立場の
オランド大統領は、公式の場で、メルケル首相と並び、EU結束を訴える。
そもそもフランス人には、独一強、独主導への警戒感が根強い。その国の首相
と「EUがんばろう。」とスクラムを組むオランドへの支持率下落は加速する。
「EUより我が国の内情を心配せよ」との批判は高まる。
 フランス国民の間には、英国型国民投票を望む意見も急浮上する。
英国のEU離脱に関しても、「わがままを言う英国が出てゆくのは歓迎。」
との考えも根強い。「英国がEUを離脱するなら、この際、我が国も独立性を
取り戻そう」と発想も芽生える。フランスは英国をライバル視する傾向が強い。
なお、ドイツとフランスの間にも不協和音が絶えない。英国EU離脱交渉
関しても、オランド大統領は、「ただちに出てゆけ。」といわんばかり。
対して、メルケル首相側には、経済関係が密な英国に、一定の冷却期間を与え、
出来ることなら考え直してほしい、との計算が透ける。EUから最大の経済的
恩恵を受けているのはドイツなのだ。しかし、米国覇権への対抗、中露に対する
団結としての欧州協調路線は崩せないから、英国EU離脱交渉には強い態度を
示さねばならない。独仏は「仮面夫婦」を演じる宿命にあるのだろう。
英国EU「離脱」は、しばしば「離婚」に例えられる。その発想の延長線上には、
独仏仮面夫婦の「離婚」も視野に入る。それは、フランス大統領選挙で、
反EU派候補が勝利するときだ。なお、実は、オランド大統領にも勝算がない
わけではない。フランス国民が、英国内に拡散するRegrexitの惨状を
見て、考え直すシナリオだ。大統領選挙戦ともなれば「英EU離脱に軽軽に票
を投じた人たちの後悔を教訓とせよ。」と訴えるであろう。≫
▼ 非常にわかりやすい内容である。それにしても、長年かけてつくりあげた
 EUも、英国の数人の凡庸な政治家の判断ミスで、一瞬のうちに崩壊する
可能性を含んでいた。凡庸な数人の政治家と、老人と、低知識層によって、
いとも簡単にEUだけでなく、英国連邦そのものの崩壊の危機がつくられた。
1月前に観たシネマ、『エング・オブ・キングダム』は、全世界で大ヒットを
飛ばした『エンド・オブ・ホワイトハウス』の続編で、舞台は英国。その
ロンドンの街中を破壊尽くす“テロリズム”との壮絶な闘いを描いたもの。
皮肉なことに、時を同じくして政治的場面で起こってしまった。
「事実は小説より奇なり」そのものである。恐ろしいことだ。

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4492, 怒らないって本当は恐い! ー7
2013年07月04日(木)
   * アポロン(光)とディオニュソス(陰)
≪ プロレスで人気レスラーが最初はヒール役に椅子で叩いたりひどいことを
 させます。観客を怒らせるためです。そして観客に、「どうしてもっとやり
返さないんだ」というストレスを十分ため込ませた後、一気に反転攻勢に出る。 
そうすると観ているほうは、ついに発現した怒りのマグマにカタルシスを感じ、
すっきりするわけです。そもそも人間の感情として怒りが具わっているという
点については、哲学者たちもいろんな形で論じています。たとえばニーチェ
悲劇の誕生』という本の中で、アポロンディオニュソスという対照的な
世界観を描いたのは、そのことをいいたかったから。アポロンは美と光の神、
ディオニュソスは、狂乱と陶酔の酒神、激情の神です。古代ギリシア人たちは、
アポロン的、つまり表面的に見ると明るくて楽天的だと思われていたのですが、
決してそんなことはない。実は人生の暗黒側面と激しく戦って、それを征服し、
苦しみも哀しみ為すべて受け入れた人たち、いわばディオニュソス的な側面が
あるわけです。その意味では、アポロン的なものディオニュソス的なものの
影であって、本質的なところで苦しさを受け入れているからこそ、彼らは強く
明るく生きていけたのです。 つまりニーチェによると、ディオニュソス
象徴される怒りの感情は、むしろ人間の本質であるともいえるのです。
 ・・もともとニーチェの思想というのは、怒りや苦しみを、あるがままに
受け止めることによって、はじめて人は善き人生を送れるとするもの。
これが彼の超人思想の根幹ですから、その意味で怒りは避るべきものではなく、
素直に受け入れるべき感情にほかならないといる。 ≫
▼ 誰にも光と、陰の側面を抱えて生きている。それが厚み、深みである。
 山高ければ谷深しである。人生には美と光の日々と、狂乱と悲観の暗黒の
日々がある。また、それが混合している。それも光の当て方で幾らでも
変わって見えてくるから面白いのである。両親や、社会のバイアス(先入観)
に縛られ、光の当て方さえ知らずに、小さな岩場の穴に閉じ込められている
ことさえ、知らずに一生を終えるのが全て人の人生である。他者に原因を
求めるだけでなく、また自分に原因を求めるでなく、問題そのものに原因を
見出すことが正しく怒ること。怒りを生み出している原因は客観的なもの。
それは粘り強くなければ得ることができないため自然と粘り強くなる。
 今まで、感情についての考察の論を読んできたが、「怒り」を、これほど
肯定している本は珍しい。怒りっぽい私にとって救いになるが、考えてみれば
気が短いだけ。確かに怒りに光と陰がうかび出る。自分に怒り、相手に怒り、
社会に怒り、国家に怒り、運命に怒り、人生に怒っていたら、せっかくの
人生が台無しになるが、正当に怒れば、道は開けるというのか? 問題は、
ディオニュソスを、どう扱うかということ。本当に恐しい相手だ!