* 人間には「勇気」は一つしかない
昨日は、暑さを言い訳にスポーツジムを休んだ。そこで何気なく、警察内部の
暗部を背景にした弁護士モノの録画をみることに。それを昼時に、寝室で独りで
見ている御隠居生活に笑そみ… その中で強烈に残った上司の、
若い女弁護士に語ったひと言があった。 …大まか、こんな内容。
『告発された刑事の弁護を御前を担当させたのは若いから。人には一つだけ
勇気が与えられている。これは、一度、失うと二度と戻ってこない。わしは
権力に叩き潰されて、それを失った。告発された刑事は、その勇気を持っている。
そして正義を貫いている。この「正義」ってのを権力を持ったものは弱いのだ。
その勇気を彼は失おうとしている。救ってやれるのは若いアンタだよ。』
―
この言葉に、俄然、駆け出しの女弁護士に火が燃え上る。
事業撤退を決意した時節に思ったことは、この結果も想定内。準備の
シェルターは、ほぼ完ぺき。20歳の創業の決意と、34歳からの実践の
結果には、自ら決意でのこと。後悔は絶対にしないと決めていた。
何故か、平然としていられるのは、「勇気」だけは残してあったため。
最期はフランクルの【態度価値】になる。 これは、
<人間が運命を受け止める態度によって実現される価値のこと。 たとえ病や
貧困やその他さまざまな苦痛の前で活動の自由(創造価値)を奪われ、楽しみ
(体験価値)が奪われたとしても、その運命を受け止める態度を決める自由が
人間にはまだ残されている、ということ。>
―
▼ 最近、よく目にする、死んだ弟を背負った、「焼き場の少年」の写真。
何故か、少年と弟の想定が次々と浮ぶ。もし、それを口に出したら…
当事者の一生の傷になる可能性がある。今回は、背負われた弟が、『勇気』。
何処の家庭内にも、この構図が当てはまる事象がある?
『神ありか?』ではなくて… 『神はあらねば!』である。 最近、思うことは、
このこと! 特に因縁という言葉。因は直接原因。縁は間接原因。その結びつき。
<孤立する、孤独する勇気> 何ごとにも立向かう勇気こそ、今・ここ・わたし
にとって、まず必要ということ。 さて、まだ5時前だが、信濃川の何時もの
コースの一周に出かけますか。
・・・・・・
6356,読書日記 ~努力の趣味化
2018年08月08日(水)
<「好き嫌い」と才能 楠木建 編著>より
* 好きこそものの上手けれ!
両親が常日頃、言っていた言葉が、『仕事も何でも、取組んだら好きになるまで
集中し努力すること。そうすると努力が遊びになる。それと質の良いライバル。』
そのわりに、この程度とは、これ如何に? 人生、最大の謎? いや楽しみ過ぎ!
・この随想日記も趣味、遊びの領域に入るのに10年近く要した。で、己の限界が
この程度と我ながら内省するしかないが、この程度の文に、テーマ探しと選定を
入れると、2~3時間のエネルギーが入っているため、どれもこれも愛着を感じ
取ることが出来る。ここで編者は、『努力の娯楽化』とは言いえて妙である。
17年数ヵ月続いたのだから、ライフワークである。
・いま一つのライフワークの『秘・異郷を中心にしたツアー・ゲーム』
地球儀を五目目版に見たてゲーム感覚で埋めていく、これは『娯楽の長期継続化』。
所要期間、30~40年。夫婦と子供を含めて4000万、年150~200万が高いか安いか?
は…別問題。『一点豪華主義』と、国内旅行は中断、普段の生活は合理主義に
徹していたため、家計の収入内で収まっていた。
・あとは、早朝散歩とポタリング(自転車散歩)。早朝散歩が30年、チャリが
10年近くになる。駅裏にある自宅から、長岡大橋と大手大橋を一時間かけ一周
するが、この間が、公園として整備されている上に、左右50キロの展望が抜群。
パリのセーヌ川、ドナウ川の展望に遜色ない景色。これを4~11月の8ヶ月間も
毎朝、味わえる… 毎朝、ほぼ誰も、歩行者も、チャリダ―も居ないのは、
実際のところ知らないため? さすがに、土日は少し居るとしても少ない。
・それと毎日、数本はみているドラマと映画、これも…
・更に読書習慣!
話は、尽きなくなるので、この辺で止めておく。
好きと嫌いと どれほど違う 命ただやる ほど違う
残照の中で、好きなことをスケジュールで紡いで楽しんでいるが、
天気晴朗なれど、大した遠くない先に、うねりが近づいているような。
――――
Amazon 説明:
《 何をやるにしても「好きこそものの上手なれ」が最強の原理原則だと信じて
いる楠木建が、さまざまな分野で余人を以て代え難い仕事をしている19人との
対談を通じて、それぞれの才能の起点にある「好き嫌い」を探る対談集。
~レビュより~
【「客観的に見れば大変な努力投入を続けている。しかし、当の本人はそれが理屈
抜きに好きなので、主観的にはまったく努力だとは思っていない。むしろ楽しん
でいる。すなわち『努力の娯楽化』、これが仕事における最強の論理だというのが
筆者の考えだ」】
【「自分のほうを向いた趣味と違って、自分以外の誰かの役に立っての仕事。
人に価値を提供しなければ話にならない。人の役に立てるということは、そのこと
についてよっぽど上手だということ。じゃあ、なぜそれほど上手なのか。有り体に
言って努力投入してきたから。しかも、長い間やり続けているということですね。
結局のところ、努力量の積分値が大切に決まっている。ここから先がポイントだが、
『努力の長期継続』といっても、実際のところフツーの人にとってはなかなか難しい。
僕にしてもそうです。娯楽なら何の苦もなく続けられるのに、努力は続かない。
で、ある時に脳内革命が起きた。『努力』をしようと思うから続かない。
『努力が努力じゃない状態』になればいい。すなわち『努力の娯楽化』が仕事の
カギだという発想です。客観的には努力であることがその人にとっては娯楽に
等しくなる。その理由は、要するに『好きだから』。以上の一連のロジックの最初
と最後を取ると、『好きこそものの上手なれ』になる」。
自分の一番好きなことは何か、よし、その好きなことをこれからも続けていこうと、
心に誓った私。】
―
▼ 普通の人でも、「努力の長期継続」で普通でなくなる。で、努力を遊びに
すれば良い。遊びはゲーム化。ゲーム化とは、ルールを何気なく決めていくこと。
それが出来るかが境目のポイント。そこで目につくのが、何も考えない、しよう
しない世間様の存在。 だから、繰返し、しつこく、取上げている。何でそんな者
というが、舟底に知らずにヘバリツク牡蠣のように舟を沈めてしまう力を持つ。
好きこそモノの上手けれを見いだせないで、それを他者に向けるヘドロ。
他者の中のそれは、自分の姿だから。半径500m、直径1000mの世界では、常に
舟底の牡蠣が… それも良いのだろうが、半世紀もかけて殺ぎ落としてきたのだ
から、今さらとなる。だから、好きなことを見つけ『努力の娯楽化』をしないと!
「あいつら、何やってんだ。それも夕飯時の残照の中で。」が、自分に言えること
だから? 美味い酒飲んで、涼しい部屋で、面白いTVの映画をみて、グッスリ寝て、
朝早くから、これ書いて、チャリで、信濃川で新鮮な空気と霊気を浴びて、朝風呂
入って、インコに餌やって、ジュースを飲んで、ネットサーフィンをして、それも
【努力の趣味化』の御蔭ですか。 …というより、痴呆化の入り口ですか?
他人のは分かるけど、自分だけは。合せ鏡で同年代を見ていると、それはもう…
殆どが自己否定を他者否定への振替作業が主となり、身体同様の硬直化が日々進行。
――――
4152, 「B層」の害毒
2012年08月08日(水)
【ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒】ー適菜収著 より
哲学者の適菜収のー日本を蝕む「B層」の害毒ー論が面白い。B層といえば
(何度か取り上げたが)、小泉元総理が「ワンフレーズ」で、「マスコミに扇動
されやすい大衆に名付けた層」をいう。2005年の郵政選挙の際に選挙戦略として
国民をIQと構造改革への姿勢からA層、B層、C層、D層に分類、B層を選挙の
ターゲットとしたことに由来する。これで当時の自民党に圧倒的大勝利を収めた。
この層について、著者は以下のように分析している。
≪ 「B層」とは何かというと、
◎〈マスコミ報道に流されやすい『比較的』IQ(知能指数)が低い人たち〉
とあり、〈B層は絶対に反省することがありません。無制限に拡大した
権利意識と被害者意識がB層の行動を規定します。郵政選挙で騙され憤慨し、
再び民主党のマニフェスト詐欺に騙され失望し、将来にわたり「騙された!」
と喚き続ける存在がB層です。〉とある。
◎〈今の世の中が肌に合わない人。今の世の中のどこかおかしいと感じている人。
今の世の中を深く軽蔑している人。そういう人はニーチェの言葉に耳を傾けて
みるべきでしょう〉という
◎〈B層の問題とは、すなわちキリスト教の問題なのです。〉
〈B層が無知を自慢し、偉大な人物が死んでも「アタシ知らなーい」「誰それ?」
などとわざわざネットに書き込むのは、彼らがキリスト教の影響下にあるから。〉
◎〈まともな哲学者・思想家は、例外なく民主主義を否定しています。人類の知性
は、民主主義と戦い続けてきたのです。 民主主義は、十八世紀に発生した
キリスト教カルトです。〉(わが国にも「民主主義には寛容の精神がある」
「民主主義は少数意見を尊重する」などと言う人がいます。バカなんでしょうか?
民主主義に一番たりないのは寛容の精神と少数意見の尊重です。) ≫
▼ 問題は、B層が悪いのではなく、彼らは、どの様にも操作されやすいという
ことである。これまで、マスコミは、大衆として、彼らを捉えて、その操作を
駆使しトップダウンを役割にしてきた。 ところが、そのB層に超小型パソコン=
モバイル携帯が普及して、これが情報のコンテンツになってしまった。B層には、
自分がB層の自覚がないため、そのレベルの判断が体勢を占めてしまう。
これが「B層の害悪」になるのである。B層はA層にコントロールされてこそ、
社会は保たれるのに、B層が主導権をとったら、そこには混乱があるだけである。
現在の民主党の混乱は、これである。A層を自認してきた自民党も、あのざまで、
C層化している自覚が全くない。この超小型パソコンが、今後もたらす影響は
モンスターのように、世界を混乱に陥れることになる。タブレットPCも含めた
端末情報機器が、プラスにもマイナスにも社会を激変させている。
・・・・・・
5624,人生を幸福で満たす20の方法 ~④
2016年08月08日(月)
<人生を幸福で満たす20の方法>三宮 麻由子(著)
* 空虚な日々を楽しむ方法 ~
3.手触り感のある生活
<迷ったら、天に、地に、命に触れよう。それがあなたのこころを
すませ原点にかえしてくれるから。>
<何故、ではなく、どうすれば、と問いなさい>
▼ カーライルという詩人が、一人の女性か. ら身の上の悩みを相談された時、
「帰って、あなたの針箱の 中を整理しなさい。そうすればあなたの悩みは
やがてなくなります」と答えたというが、まさに、これ。無心で何かに集中
すると、無心の彼方から問題解決のヒントが、沸いてくる。そういえば、
朝ドラで、編集長役が、ヒントを考えるときに、「知恵の輪」に集中する
手法を使っていた。
――
4.幸福に働くために
働けることは幸福なことである。 果たすべきことをやる。
仕事に楽しみを見出し、感謝することである。
「働き、遊び、学び」は、人間が生きていく上で必要な要素である。
「恒産あって、恒心あり」である。
「いま、ここでしか出来ないことを、自分から見つけてすること」である。
▼ 外海なら、一つの判断ミスで、致命傷になる。 だからこそ面白いが、
視界は、その人の能力範囲しか見えない。孝不幸など、考えていられる
ほど自然現象は甘くない。万一の場合の、準備が常日頃から必要になる。
空虚な日々など、経営にあろう筈はない。
・・・・・・
4527, 生きる悪知恵 ー6
2013年08月08日(木)
「生きる悪知恵 ー正しくないけど役に立つ60のヒント」西原 理恵子(著)
* 娘が、漫画家になりたいと言い出しました
Q: 高2の娘が、漫画家になりたいから、大学に行かずマンガを描くと言い
出しました。昔からお絵かきが好きな子でマンカもよく読んでいましたが、
まさかそんなことを考えているとは思わず、驚いています。特に成績がいい
わけでもなく、この就職難の時代に中途半端な大学に行くより、なれるなら
なってくれたほうがいいという気もします。でも、プロの漫画家になる
なんて簡単なことではないでしょうし、娘の描きかけのマンガを見ましたが
才能があるかどうかわかりません。娘に才能があるかどうか、どうやって
判断すればいいのでしょう? 今は大学もマンガ学科があるようですし、
そういうところやマンガ専門学校に行かせたほうがいいのでしょうか?
アドバイスいただればと思います。
A:私が美術予備校に行って勉強になったのは、自分の作品と他者の作品を
冷静に見比べることができるようになったこと。300人の絵を並べて、その中
で最下位だということがわからなかったの、最初は。「なぜ、自分が最下位で、
この人が一番?」なのか自分が見えてなかったの。 ・・すごい不細工なのに
自分のことを可愛いと思い込んでるコがいるでしょ。あれと同じ。でも、
予備校で本当に上手な人の絵を見て、大学に行ったらもっとみんな上手かった。
で、「ダメだ、こりゃ」って、自分の実力がいかにないかとわかって、
「じゃあどうするのか」って、そこからですよね。そういう意味で、専門学校
みたいに人が集まっているところに行くのも自分の位置を知るにいいかも。
・・才能があるかどうかなんてやってみないとわからんし、親が判断すること
でなく、それは世間様が判断すること。・・まあ、別に漫画家じゃなくても、
高校生にもなった娘が進路について「これをやりたい」というのに反対する
ことはない。ひとつだけアドバイスするなら、「アルバイトはさせたほうが
いい」ってことかなあ。お金をもらって、他人に怒ってもらえるという経験は
貴重です。私もアルバイトでいろんな経験させてもらったのが財産になってる。
いるだけで「可愛いね」って言われる時代から、いるだけで「邪魔、パパア!」
って言われる時代まで、女の人の方が描くことの引き出しが多いんですよ。
だから、やっばりいろんな場所でいろんな経験してほしいですね。
▼ 早期退職のサラリーマンの蕎麦屋をしたいという話と同じ。遊びや趣味で
やるのと、それで生活していくのは別問題。17~8年前になるが、甥っ子が
京セラに勤めて10年、何かで社長賞を貰ったのを契機に漫画家に転身と聞いた。
当初は、そこそこ売れっ子だったと聞いていたが・・ 漫画家の名は、自分の
名前を逆読みにした「きもと○○」という。次々と若い漫画家が出てくる中で
若い人の感覚を取り入れ続けて生き抜くのは大変のはず。この娘の場合は、
専門学校に入れるのがベスト。その世界で仕事が出来るだけでも、本人に
馴染むからである。
・・・・・・
5989,閑話小題 ~最後の講義・9 ー石黒浩:対談
2017年08月08日(火)
* 新しいことは説明しても理解されない
具体的人物をモデルに、例えば、落語の米朝とか、夏目漱石のロボットに
する効用は出来上がって初めて見えてくる。事前説明の理解は夢物語でしかない。
米朝の落語をロボットで保存し、高座で披露するとか… 「石黒ロボット」を
通してロボット論の講演をさせたり。本人の代り、世界各地にロボットを派遣、
講演し、ネットで問答をすることが可能になっている。今では、石黒本人より、
ロボットの講演依頼が多いという。 今後は、テロの危険のある要人のロボット
講演で使われる可能性もある。
――
<石黒> 僕のプロジェクトは、自分自身の中では論理がつながっている
のだけれども、他人へ説明するのがすごく難しいといったケースが多い。
遠隔操作型アンドロイドをつかったロボット研究のときも、誰もこれが
世の中に役立つとは信じてくれまいと確信していました。そのため、協業者
に対しては、「僕が提案することに対して、一切説明を求めてはいけない」
ということでスタートしました。結果は大成功しました。少しアーティスト
っぽいアプローチかもしれません。でも新しいことは理由を説明するのが
難しく、いくら言っても納得してもらえないので、見せるしかない。
<本荘>
商品やサービスでも、最初はアホじゃないか。と言われたものがヒットして
いますよね。企業でも、「俺を信じろ、言う通りにしろ」というかたちで稟議
を通すと、夢が実現できるかもしれないですね。
―
▼ 世界中のビジネスの殆どが「代行業」という。人型ロボットの講演などは、
「お手伝い」そのものになる。孤独な老人に対する会話、対話の代行ロボットも、
現れてきた。最近のTVにはユーチューブなどで、行きたい、観たい出先の
映像が気楽に呼び出されるため、自分が飛んで行った錯覚に陥ることがある。
ドローンという飛行物体を人型にすると、何だろうか? アトムですか。
それより、8kTVとか、立体TVでも充分ですか。空間移動ならⅤr・TVでも。
・・・・・・
5259,閑話小題 ~インサイドヘット(シネマ感想)
2015年08月08日(土)
~インサイドヘット:なぜ、“カナシミ”は必要なの…?~
* シネマ ~インサイドヘット 感想
先週みたシネマの感想になるが、面白い切口である。心の中の感情を
擬人化した人形のアニメとしての遣り取りに興味を持ってみたが、難しい
感情問題を、軽妙に?扱っているところが良い。ヒロインのヨロコビと、
カナシミが、「思い出保管庫」の世界に迷い込んでしまうが、その辺りが、
難しい問題を含む。 自分を考えると、膨大な保管庫から、フラッシュで
多くの記憶が漏れ出て己を悩ます日々だからこそ、色いろ考えさせられる。
~ ネットの映画ビュアーより~
≪ 思春期の戸惑いと成長を脳内アドベンチャーに重ねて描く世界初の
フルCG長編アニメ「トイ・ストーリー」を1995年にリリースして以来、
おもちゃや車、昆虫や魚などさまざまなものに人格を与え、彼らが感情豊かに
関り合う上質のストーリーを紡いできたピクサー・アニメーション・スタジオ。
同社の20周年作品で、“感情”そのものを複数のキャラクターで表現する
コンセプトを初めて知ったとき、「今度はそう来るか!」という期待と、
「ファミリー層には難解かも?」との懸念が相半ばした。
物語の外側=人間世界の主人公は11歳の少女ライリー。
ミネソタの田舎町で両親の愛を一身に受けすこやかに育ってきたが、家族で
引っ越したサンフランシスコでの暮らしに馴染めず、気持ちが不安定になる。
この辺から、ライリーの内側=脳内世界のヨロコビ、カナシミ、イカリなど
5つの感情たちがダイナミックに動き出す。彼らがいる司令部から、ある事件に
よってヨロコビとカナシミが放り出され、広大な思い出保管所に迷い込む。
感情の制御がきかなくなったライリーを救うために、ヨロコビたちは司令部に
戻ろうと駆け回るが……。
ライリーの外側で起きるドラマと内側の感情たちによる冒険が、相互作用
しながら平行して進む――聞いただけでは複雑そうだが、実際に観てみると、
繊細な表現で魅力的に描かれたキャラクターたちと、心理学などを踏まえた
深みある設定、創造性に富んだ展開に94分間引き込まれっぱなし。
CG描画の面でも、うっとりするほどリアルな質感を伴うサンフランシスコ
の街並み、柔らかい光の粒で描かれた感情キャラたちの揺れる髪、さりげなく
視線をいざなう仮想カメラの滑らかなポジション移動など、技術の進歩を
印象づけるビジュアルと卓越した演出センスが随所に光る。 ・・・
鑑賞後は、頭の中が解きほぐされ、心がふわりと軽くなった。(高森郁哉)≫
▼ ヨロコビに影のように付添うカナシミの役割を解りやすく示している。
カナシミは色いろの記憶を悲しみに書き換えてしまう強力な力を持つ反面、
ヨロコビを引きたてる力を持つ。ここでは、イカリに対して、注目されて
なかったが、実はイカリこそが司令塔を動かす力を持っている。虎に例えると
解りやすい。なだめ、飼いならし、時には、その背に乗って奔りまわることも
できる。 感情の擬人化した人形アニメとは、哲学的切り口でもある。