読書日記 ~哲学の女神との空想上の対談 ―2

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                 『哲学の慰め』ポエティウス著
 ポエティウスは、『夜と霧』のフランクや、ロシアの小説家ソルジェニーツィン
など、絶望の牢獄の中で、人間の生と死を考えた人のはしり。彼の「哲学の女神」
を通した言葉は千数百年の時空を超えて迫ってくる。成るほど、高貴な精神は
残るのである。
  
  ★ 「哲学の女神」の言葉
◉ 天の広大さ、確かさ、はやさを見よ。そして、ついにそんないやしいものを
 歎賞することを止めよ。
◉ 他の生物においては自己を知らないことが、その本性であるが、人間にあって
 それは欠陥から生じるのである。
◉ この秩序を見ることの出来ない我々にとって、一切が混乱的、かつ乱雑的に
 見えるとしても、やはり万物は、善にいこうする自らの法則に依って規定されて
 いるのである。
◉ 「だから」と彼女は、言い続けた。
「賢者は運命との闘いに引き入れられることを嫌がってはならぬ。
 丁度、勇者が剣の響きにたじろいでは成らぬと同様に。
 というのは、困難が却って両者にとって機会に―  
 後者にとって名誉を広める機会に、
 前者にとって知恵を広める機会になる。
◉ 哲学の女神は、「運命を信じるなら、高い地位や評価、富に恵まれて「幸福」
 に 生きてきたけれど、それが御前をここに送り込んだのなら、そんなものは
 本当の源であるわけがない。
 ―
▼ 更に絶望の淵の囚人は…
<「運命の女神」を信じるなら、女神が来ると同じように女神が去ることを予測
 すべきだ。それは季節が巡るようなものでしかない>と! 哲学の女神と、
囚人の対話は、神の意志と自由意志という、より大きな疑問へと発展していく。
『偶然なぞ、宇宙のどこにもない、すべてを司るのは神の意志』だと。
 そう言われたら、当然、その神の意志とは何か?と、問うだろう。哲学の女神は、
これに対して、『人間の自由な選択が、どのような未来をもたらすかを、神は現在
のこととして見ておられます』と説明する。神は、人間の選択の結果を知っている
が、導きを乞われない限り、その選択に干渉することはない。神の意志が宇宙を
苦もなく動かすのに対し、運命はその時々の個々の人間の動きに影響を及ぼすに
過ぎないことを、囚人は学ぶ。「神のそばで生きる者は神の意志と調和して生き、
その結果、神の意志を頼みにすることが出来ると…」。 それに対して、
「自分の意志で生きていると信じる者は、完全に運命に縛られ、逆説だが、自分に
生き方を掌握しにくくなる。静けさを尊び味わう者は神の御心を知り、不安と混乱
以外に何も何も感じ取ってない者には、運命の厳しさだけが残る」と!。
 同じ自問自答でも、絶望と恐怖の牢獄での魂の叫びが響いてくる。
人生、ハッピーエンドがベストとは限らない。誰の最期も、アンハッピーと固く
信じていれば、混乱と絶望の中で息絶えなくて済むものを。 いや同じか。
しかし、同じではない! 叫びの中で、魂が、こう残っているではないか。
 自由を望めば、それだけ自由になれる。何故なら不自由は、自らの心の壁。
ところで苦しいのは最期の30分としても、囚人の最期は、キリストのごとく、
あまりに過酷。 人生には、宗教が必要ということ! 
 人生を振返ると、信じられないことが次つぎと。白い、黒い、まだら色のスワン
が次つぎと舞い降りてきた。そういえば嘘のように可愛いのも… 憎らしいのも。
 人生、自由を楽しめる者には面白い! 群れるな、横を向くなよ。自由に遊べ。

・・・・・・
6322,閑話小題 ~今年も半期の終了 -4
2018年07月05日(木)
   * ~スイス 名門寄宿学校~ ―NHKプレミアム
 ドキュメントでは、
【 まるで映画のよう!名門寄宿学校ってどんなところ?
  密着!プリンスたちの学び舎 ~スイス 名門寄宿学校~
   6月6日(水)[BSプレミアム]後9:00 】 が圧巻だった。
 偶然、去年の今日(同月同日)、<モンテッソーリ教育を受けた有名人>
をテーマに書いていた。この偶然にも驚かされたが… 慶応には幼稚舎から
大学までのエスカレーターのコースがあり、年に最低、?百万はかかる。
このスイスの学校は、1200万。11~18歳の8年制で、合計一億円になる。
慶応でも500万×20年=一億円。 まあ、いいが… 
 このテーマを書くにあたり、昨日、二度、続けて録画をみたが、成るほど、
理に適っている。NHKのHPに詳細を譲るが、内容は御伽噺をみているようで…
こういう「選ばれし者たち」の理想郷のドキュメントに、反発を覚えるタイプ
だが、ここまで映画のような世界に… 私の二回みたそのままを書くと!

▼ ・スイスアルプスの麓にある「11~18歳までの「8年制の学生寮と学校
 『ボー・ソレイユ』」の紹介。
 ・全校生240名、先生が54名。生徒は人種を問わない世界各地から…。
・学費は三食、寮費込み1200万。8年制として大よそ、一億円。 食事は豪華
 なビフェスタイル。
・家族から引き離されるため、両親の役割の専任教師もいる。
・クラブは40ほどあり、2つ以上の加入が義務つけられている。
・部屋は2人の相部屋が基本。男女の比率は見たところ、男2に対して女1.
 白人2に、有色人種1の割合。
・世界中からスカウトされた先生の質が抜群。歴史でも、美術でも、何故何故と
 考えさせるのがベースにある。
・18歳で卒業後、有名大学とか、ボランティアで、世界にちっていく。
・スキー場が目の先にあるため?秋口から春先まで、週一、半日の実施訓練が
 義務つけられ、3月半ばに、全校生参加の、3時間のスキー大会が圧巻。
 ~ボー・ソレイユ校理念~
 ◉責任を持って行動しなさい
 ◉敬意を持って振舞いなさい
 ◉高い目標を持ちなさい
 ◉最善を尽くしなさい

~~~~
永井朝香ディレクターに、撮影裏話!

 名門寄宿学校って、どんなところ?
──なぜ、この学校に取材をすることになったのですか?

今回の企画は私が立ち上げたのですが、そもそもは“世界の秘境に行きたい”
というのが始まりでした。けれど他のテレビ番組で既に取材が入っていたり、
一般の方でも行っていたりと、なかなか“秘境”が見つからない。熟考した
結果、そうだ! 学生寮だ! と思いついたんです。するとプロデューサーに
「プリンスも行く寄宿学校はどう?」と言われ、めったに入れない場所という
意味でこれは秘境だな、って(笑)。それからヨーロッパの寄宿学校にいくつか
オファーをして、ようやくOKをいただけたのがボー・ソレイユだったんです。
先生方がこの学校の日本人生徒にすごく良い印象を持っているそうで、後で
お話を聞いたら「日本の取材だから受けました」と言われました。今回の取材
は、これまでこの学校に通われた日本人のみなさんがあったからこそ実現した
といっても、過言ではないかもしれません。

──卒業生の中には、いったいどんな家のご子息、ご令嬢が…!?

詳しくは言えませんが、某国のロイヤルファミリーや貴族といった、歴史に名を
連ねる名家をはじめ、著名人や芸術家など経済的に豊かな家庭のお子さんが中心
とうかがいました。だからといって、お金があるだけで入れるわけではないと
いうのが、この学校のおもしろいところ。学力のほかにも、学校との相性も
見極めるそうです。面接で「夜に懐中電灯だけつけて山に登るけど参加する?」
と聞いたときに「えっ」と戸惑うタイプではなく、「楽しそう!」とすかさず
返してくるような子を受け入れるようですよ。

 名門校の授業と、それを教える先生とは?

──まさに選ばれし者が通える学校ですね。授業はどんな風に行われるのですか?

「いま世界で起こっていること」を教材に、勉強→思考を巡らす→その結果を
発表する、というような発展形式になっています。例えば「リーダーシップ」が
テーマの地理の授業では、アフリカの島国・マダガスカルの水問題という切り口
から、発展途上国の水問題や女性の社会進出など多角的に先生と生徒たちが皆で
議論していました。この白熱した授業を55分で行うのですが、生徒たちは涼しい
顔でこなしており、頭の回転の速さとマシンガントークにまたまた度肝を抜かれた。

 偶然にしても、面白いもの!
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5955,閑話小題 ~モンテッソーリ教育を受けた有名人
2017年07月05日(水)
   * モンテッソーリ教育を受けた有名人
 20歳の頃に、『創業を目指す』と、志をたててから、俄然、人生が
面白くなっていた。人生の脚本の粗筋が、その時に決まってことになる。
当時の与えられていた学科そのままが、教材になっていた。また与えられた
特権の自由になる時間が素材に思えてきた。その翌年の三年次に行った、
「30日間の欧州ツアー参加」も、四年次の「武澤ゼミ」の入会も、その粗筋が
あればこそ決断出来たこと。緑の原野(社会)に出てからの自己配転による
キャリアづくりも、「人生の脚本」の筋書に沿って進んで行った。
 それが、周囲に対して違和感を持たれていたが。その時期が20才時だった
のが良かったと思っていたが、何か内なる硬い岩盤があった。その岩盤を
最小にすべく、幼児期からプログラムをたて、手順を踏むのだから、納得。
 この教育を受けた有名人をネット検索によると、
≪ オバマ大統領、クリントン夫妻や、日本の皇族にも
 モンテッソーリ教育を受けた人がいるそうな。
  ~主な人物では
アンネ・フランク
バラク・オバマ(米国大統領)
ジェフ・ベゾス(Aamazon創業者)
ジミー・ウェールズウィキペディア創業者)
・キャサリン・グラハム(元ワシントン・ポスト会長)
・サーゲイ・ブリン(グーグル創立者
ラリー・ペイジ(グーグル創立者
ピーター・ドラッカー(経済学者)
ジョージ・クルーニー(映画俳優)
・ウィリアム王子・ヘンリー王子(英国王室)
ウィル・ライトゲームクリエーター
・ジュリア・チャイルド(料理研究家)など・・
 モンテッソーリの基本的な考え方は、
『子どもの自主性を重んじそれを伸ばしていくこと。』
 日本の教育が個性の尊重に重きを置かず、画一的な教育である
ことに問題意識を持つ親には、興味深い教育法。しかし、モンテッソーリ教育
を受けた誰もが高い能力を発揮できるわけではなく、子どもにも向き不向きが
ある。保育園や幼稚園などにより、導入の度合いは異なります。また、家庭が
その教育法にどう向き合うのか、非常に重要になる。
 この教育が目指しているのは、自立し、周囲に対して思いやりを持てる
人物を育てること。日本の教育では、与えた課題を正確にこなす、ことに
主眼が置かれがちですが、モンテッソーリでは自分で課題を見つけ、自分の力
でやり抜く力が身につきます。発達障害や、貧民の幼児向けのプログラムが、
幼児の英才教育に改良したもの。≫

▼ 今では、スマートフォンタブレットPCが一般に普及。
 これを幼児の英才教育に活用できる親の教育ソフトこそ、必要とされる。
成るほど、競って慶応幼稚舎に入れるのも、そこには、個性尊重の自由な精神を
守る世界があるのだろう。良い意味の「朱に交われば赤くなる」ということ。
悪い意味では「世間」になる。己の不自由を気付いてないから、それはそれで。
 ああ、それ、自分の指摘ではないですか? 時世に群れて、考えず、狂い水を
飲んで、頭をやられ、無為に過ごしてきた人生こそ、不自由だったのでは? 
 そとには鳥の鳴き声と、雨の飛沫の音がする。
で、この有名人たち、自由だったのだろうか。黄金の人生だったのだろうか。
少なくとも私よりは遥かに自由で黄金の時間を過ごしていたようだが…

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5590,幸福の条件とは ~②
2016年07月05日(火)
 「幸せの条件?」をネット検索にかけてみた
≪ 幸せの3つの条件(『人生談義』松下幸之助より)
   1.自分が幸せだと感ずること。
   2.世間の人びともその幸せに賛意を表してくれること。
   3.人間の共同生活の正しい進歩向上に即したもの。
  幸福のための4条件(『不幸論』中島義道より)
   1.自分の特定の欲望がかなえられていること。
   2.その欲望が自分の一般的信念にかなっていること。
   3.その欲望が世間から承認されていること。
   4.その欲望の実現に関して、他人を不幸に陥れない
    (傷つけない、苦しめない)こと。
「どんなに幸せそうに見えても、本人が幸せだと思っていなければ、
 その人は幸せではない」のです。
幸せの第一条件は、「自分は幸せ」という“自覚”があることです。
それを確かにするのが、実際に“幸福感”を感じて生活することです。
世間からの賛意・承認を得るということは、善いことをする、人の役に
立つのようなものに加えて、人に迷惑をかけない、悪いことをしない
というようなものも含むと思います。≫ とあった。
▼ 年収七百万までは、比例して右上がりになるが、それ以上は、急速に
 角度が下がる。貯蓄も、一世帯3千万が心配しないで済む安心の目安。
「どんなに幸せそうに見えても、本人が幸せだと思っていなければ、
その人は幸せではない」とあるが、逆に、「どんなに不幸に見えても、
本人が不幸と思っていなければ幸福である」といえる。としても、
何時も金の心配をしなければならない生活は決して幸福といえない。
 資本主義社会とは、貨幣を基準に価値判断をする社会。不条理だが、
割り切るしかない。お金の本質といえは、ずばり、「自由」と「能力」。
「自らに由る欲望の達成」の手段がお金。達成できる力が「能力」。
千円には千円の、百万には百万の、一億には一億の能力がある。
 自由、博愛、平等度が高い社会ほど、幸福度の高い社会になるが、
その前に、人と比較しないこと! 
 そうすれば、自らを縛りつけている枠が取れるため。
・・・・・・
4860,「事業人生を決心して45年」の語り直し ー28
2014年07月05日(土)
  * 15年の準備期間の総括! ―チェーンストア理論とは
 多くを学んだ割りに、大きく脱皮出来なかったのは、「根が怠け者」がある。
だから、20歳で創業を目指すと決心したことで、何とか人生を全機
(人間としての機能フルに生かす)でないとしても、その数分の一は生きること
が出来た。終戦直後に生まれ、地元長岡の焼け野原からの時代は間違いなく右上り
の時代。アメリカ占領統治から独立過程で、アメリカ的合理主義が求められていた。
その一つの現象が、アメリカのチェーンストア業態。未開の大陸、流通業の小売で、
合理的業態として、セルフ方式のチェーンストアが、アメリカ全土にあった。 
JC・ペニー、シアーズ・ローバックが当時の雄であった。 現在ではウォルマート
などが主だが・・ 学生時代に、日本の流通革命を目差すペガサス・クラブと、
流通コンサルタント渥美俊一の存在を知る。当時の都市の駅前には、業種店の
百貨店と中小小売店が賑わいを見せていた。そこに業態店のスーパーを中心とした
新たな流通バイパスの業態店を!というから、これ!と思うのは当然。ちなみに
業種店とは、駅前に残存するが、メーカーなどの売り手サイドの括りで、問屋を
仲介にした仕入を主にした店で、「何を売るか」で、括られる。
それに対し業態店とは、「どのように売るか」で括られた店。セルフ方式で安く
売るスーパーや、ディスカウント店である。コンビニは、車で10分の商圏の中、
10分以内に消費する商品を、24時間営業を、売りにしている。それに対し、
駅前・駅中の靴屋、化粧品店は、あいも変わらず? その為、何時の間にか、
スーパーや、ネットで、売上げは激減状態!
 卒論に「流通革命」をテーマにしたこともあり、チェーンストアのシステムの
話になると我を忘れるが、これ、はまると、意外と面白い!その中で、一番要は、
チェーンストア統一伝票と、その伝票にバイヤーが書き込む仕様書発注である。
それさえ、詳細に書けば、それが、そのまま契約書にもなる。これが曖昧だと、
売り手が曖昧な商品を納入可能になる。 ある規模になれば、生産地で、直接、
メーカーと共同開発の特別発注が可能になる。 このところ、イオンが、イオン
ブランド品に比率を上げているのは、競争激化による。 そこで、トレード・
オフで、ホット商品の無駄をはぶいて数段の値段を下げで、カジュアルにする。
アメリカのディスカウントチェーンは、メーカーと組んで、商品開発から取組んだ
商品を売る、業態店をいう。 値下がり品だけを売る店は、チープ店である。
 小売を科学するとは、流通戦争の中で、生延びる中で生まれてくる。
だから、商売のヒントと原則が、数限りなく積上げられてある。その中で面白い
のが、ロスの概念! 商売をすれば当然、ロスが発生する。
これを、元から予測して、「発生は仕方がないが、最小にする!」という考え方。
これ、人の生き方にも当てはめることが出来る。「思いのまま生きた分、心の傷も、
喪失感が多くなるが、それ以上に得ることがある!」と言い換えることが出来る。 
冒険を恐れて、周囲の価値観の範囲で、人生を終える時に、やりたかったが、
やれなかった機会ロスがあまりに多かったことに気づくが、既に遅し!
そのゾンビが巷に多い。 彼らの敵は、逆の人生を生きてきた人!
・・・・・
4493, 怒らないって本当は恐い! ー8
2013年07月05日(金)
 人間を閉じ込める心の壁と構造について、何度も書いてきた。
「~をしてはいけません」という心の壁。それについて何も考えずに、そのまま
一生を終えてしまう。そして、心の奥で両親を憎むというのが親子の関係にある。
それに反発し、両親の元から離れるのが親離れになるが、それが出来ないとミニ
ミニワールドでつい果ててしまう。そして、それを打ち消すために、その価値観
を家族をはじめ、周辺に押し付けてしまう。それも無知の自覚無しときている。
小さいほど、満ち溢れたエネルギーは毒を強くする。それで、まずやられるのが
自分自身。あの老人たちの暗い顔が証拠である。
 ーその辺りからを抜粋してみるー
   * フロイトの心の構図と怒り
≪ 怒りという感情を持たないようにするのではなく、いかに上手くコントロール
 するかだが、精神分析医のフロイトは、歴史上初めて、人間の心の構図を明らか
にした。彼は私たちの心は、実は三層構造になっているという。まず人間の根底
にはエス、あるいはラテン語でイドといわれる無意識の心的エネルギーがある。
これに対し、悪さをすると叱られる父親の存在に象徴されるような、ある種の
規範意識が対立します。これを超自我という。これは両親の道徳観が子どもの
心の中に内在化されたもの。従って超自我の多くは「~してはいけません」という
禁止の形をとります。これは行為だけでなく、不道徳の思いに対しても作用する。
そうして両者は対立することになる。その両者を調停するのが自我です。
両者の対立をうまくコントロールしたり、阻止したりする機能を働かせることで、
自我は発達していく。それは思考をつかさどる意識の領域にほかならない。
つまり、心というものは、学校での三者面談のような構造になっている。
先生役の自我は、常に緊張状態に置かれていて、いつ爆発してもおかしくない。
これを防ぐのが防衛機制という機能です。人は自我を維持するのに危機を感じた
とき、無意識のうちに、その危機を避けようとします。たとえば不愉快の過去を
忘れてしまうために、持ちたくない意識を外に締め出します。これは「抑圧」
という防衛機制の一種です。また、本当の欲求が満たされなかったから他の
ことを行ったのに、それを正当化するため丁度の良い理由を見出すことがある。
手の届かないブドウを、酸っぱいに違いないと決めてかかるキツネのように。 
これを「合理化」という。さらに、自分の願望と裏腹の態度や行動をとる
「反動形成」も防衛機制の一つです。したがって怒りの感情をコントロールする
というのは、フロイトのいう自我が正常に機能して、防衛規制がきちんと働く
ことによってはじめて可能になる。それができないとキレまくることになる。
怒りをコントロールするためにも、自我の形成が大事になってくる。
自我は思考を鍛えるということにつながっていきます。欲望と規範の間で格闘
する自我とは、計算であり、配慮であり、決断にほかならない。 ・・思考を
鍛えて怒りを飼い慣らすことができれば、日常世界がもっと豊かになるはず。≫
▼ サラリーマンが、いちいち怒っていたら、組織の中で生きていくことは
 困難になる。だから、まず、気持ちを押しとどめるしかない。上記の「抑圧」
も「合理化」も「反動形成」も、嫌が上にも身につけるしかない。 そして、
それが性格形成の元になる。組織そのものが一つの人格として三者面談を形成
してくる。それが組織人というもの。それも給料の内と割り切るしかない。
そこに埋没しないためには、ライフワークとしての趣味を持つしかない。
 怒りは、その行き詰まった自分を考えるキッカケになる。「エス」「超自我
「自我」の心の構図の論は怒りを考える上で理解しやすい。「自我」にとって、
怒りこそエスを正しい方向に導いてくれるということを。それも若いうちにである。

・・・・・・
4119, 閑話小題 ー平均寿命と医療費
2012年07月05日(木)
   * 平均寿命と医療費
 あるレポートに「世界一高い医療費を払っているアメリカで78・3歳、
最低の北朝鮮でも67歳の平均寿命」とあった。アメリカとキューバの平均
年齢は全く同じだが、キューバの医療費はアメリカの一割でしかない。
北朝鮮では年間、たった一ドル。社会主義という背景もあるが両国とも最貧国。 
皮肉ではないが栄養失調ギリギリの粗食は健康に良いらしい。ちなみにロシアが
65歳、インドは64歳である。 日本の医療費は、先進国の平均値より低いが、
女性が86・4歳、男性が79・6歳,男女平均83歳と世界最長である。
こと医療体制をみると、日本は色いろの問題があるにしては最良のシステムに
なっている。現実的にみて、財政破綻状態だが決して住みにくい国ではない。
   * アメリカの学費ローンの実情
 アメリカでは所得水準が下半分以下の家庭に生まれたら、返済義務のない
奨学金を獲得して大学に入ることは不可能という。入学金とか学費などの学費
ローン(総額9兆円)は、全米の学生の三分の二が借りているほど一般的とか。
しかし、このローンの仕組みも多くの問題を残していて、卒業直後に計画的自己
破産による棒引きケースが続出した時期があった。その当時のクリントン大統領
が、罰則として大学を中退しようが自己破産しようが、学費ローンだけは永遠に
返済しなければならない法制化をした。それは当人の許諾を得ずに給与天引きで
ローン返済をする厳しいもの。アメリカは学費ローンに限り厳格のようだ。
日本では本人の学費ローンは、あまり聞かない。大体が親がローンを組むケース
が多い。それにしても日本の大学進学率が五割を超えているのは問題である。
まだ三割なら分かるが。もっともアメリカも5割を超えている。ドイツは三割強、
先進国は4割前後というから、日本が取り立てて高い訳ではない。 
私の年代では18%だったが。