* 文明の相克
 今年も、あと一月足らずだが、やはりISのテロ関連が中心であった。
1月と11月のパリのテロと、ロシア機への爆発テロなど戦争の様相である。
さらにISなどシリア内戦で700万人が難民なり、その何割かが大挙、欧州に
押し寄せている。そこにISのテロリストが紛れ込むため、問題は複雑。
その対処に、欧州の安全がゆれだした。20数年前に、エジプトに初めて
行った時、若い女性の日本人現地ガイドが、空港からホテルに向かうバス
で言った注意が、鮮烈だった。
《エジプトはイスラム圏で、欧米文明の常識とは根本から違います。
これから今までの常識を捨ててください。イスラムは、金持ち、力ある者が、
ない人に何かを与えるのは至極当り前のこと。今日からラマダンが始り、
日中の断食に入りますが、全員がイライラの極み。日本人への釣銭は、ほぼ、
まともに返しません。「騙すより騙される方が悪い」のがイスラムです。
いちいち、それに腹を立てていては、せっかくの旅行がダイナシになります。
女性や、子供を褒めてはなりません。褒めると、それは欲しいと同じ意味に
受止められます。とにかく、ここは別世界、注意をして下さい!》 
 そのイスラム教徒が、欧米世界に大挙して押し寄せたら、摩擦が起きる
のは火をみるより明らか。グローバル化で、文明同士の争い、キリスト教
イスラム教の争いは、より深刻になっていく。欧州に逃れたイスラム教徒は、
自由、平等、博愛の精神に自分たちが当て嵌められないことに、不満を持ち、
それがテロにつながっていく。今までは、国という括りで、隔離されていた
人たちが、欧州の文明の中に一挙に混入すれば、文明の相克が日々の生活の
中で、直に生じてくる。それにネット社会が、それぞれの絆を、より強固に
するので、その対立は、より深刻になる。もし、日本に、某国の難民が
10万人単位で大挙して押し寄せてきたら、大混乱する。それが、欧州で現実に
起きている。情報化社会でネット難民を生んでいるが、これこそ文明の相克!
 で、以下のテーマにつながっていく。ネット世間が、そこにも存在する。
・・・・・・
4998,暴走する世間 −12
2014年11月20日(木)
     「暴走する「世間」―世間のオキテを解析する」佐藤 直樹(著)
  * 世間とは、差別社会の日本的用語!
 日本の世間にも、欧米社会にも歴然とした格差があるが、高度経済成長と、
バブルと、崩壊を経て、中流階級が、総下流になりつつある中、世間様では
窒息感が強くなって、世間様のイギリス化が始まっている。この傾向は、
今後ますます強くなっていくことになる。 ーその辺りからー
≪ 八○年代までは相対的に景気がよかく、人びとに余裕というものがあった。
「世間」の贈与・互酬関係」や異通の時間意識」は、「お互い様」という
相互扶助」や「やさしい関係」という「共生感情」を生みだす。これが
「世間」のウチでセーフティネットとして機能していた。ところが、九〇年代
以降の不況の時代に入ると、人びとにこうした余裕が失われ、セーフティ
ネットとしての「世間」の機能がだんだんと後退し、「世間」の「権力性」
「抑圧性」といったネガティブ面だけが目立つようになった。「世間」の
「息苦しさ」や「閉塞感」が、前面にせりだした。この変化を、私は資本主義
の「中世」化とよんだことがある。九〇年は、オングのいう「第二次的な声
の文化」が始まる時代と符合する。オングは九〇年代以降、電子メディアの
普及によって、文化の伝承という点で、ちょうど「中世」のような状況が
あらわれたという。「中世」の特徴は身分社会にあるが、「世間」もまた
「目上・目下の関係」としての身分関係を重視する人的関係である。
この資本主義の「中世」化によって、世間」がせりあがってきた。 
 ・・(中略)例えば英国の階級社会とは、何なのか。イギリス生活が長い
ジャーナリスト林信吾によれば、英国の階級制度は、上流、中産、労働者
階級に明快に分けられる (『しのびよるネオ階級社会』林信吾)。 
☆ まず上流階級と中産階級を分ける基準は身分。これは古い貴族制度が
のこっているためで、上流階級には王室をはじめとする貴族や代々の
大地主などが入る。これはまあ、わかりやすい区別である。
☆ つぎに中産階級と労働者階級を分ける基準は、収入や資産もあるが
基本的には職業であるという。これはみた目で区別するのはむずかしい。
中産階級に属するものとして、医師や弁護士などの専門職のアッパー
ミドルクラス、高学歴のエリートサラリーマンなどのミドルクラス、一般的な
ホワイトカラーや下級公務員、自営業者などロウアー・ミドルクラスがある。
☆ 後に労働者階級に属するのは、特別の資格やスキルを必要としていない
仕事に従事している者。 ロンドンでは、二階建てバスの運転手は労働者階級
だが、むずかしい試験に受からなければならないロンドン・キャブの運転手は、
ロウアー・ミドルクラスだという。
 ・・英国でおなじみのパブでも、1軒のお店のなかで、中産階級向けの
ソファやスツールに座って飲む「サルーン」と、労働者階級向けの墓本的
には立ち飲みの「バー」が分かれていて、入口まで別。≫
▼ 欧州は人種の坩堝のため、飲食店は長年かけて以上のようなシステムに
なっている。日本も、ますます、この傾向が強くなっていくのだろうが・・ 
実際、日本も表立ってないが、客単価で、えり分けをしている。世間とは、
それぞれ階層の「目上・目下」の人的関係に過ぎないが、当人たちにとっては
大問題である。大学、高校、中学、小学校の同級会に毎年、出席しているが、
そこには、階層差が歴然としている。その上、それぞれにも明確に存在する。
それを見てきたため、創業時の事業設計から万一の備えを組み込んでいた。 
娑婆は面白い! が、それも所詮は、共同幻想でしかないが。
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4631, 夫婦格差社会 〜どういう男女が結婚するのか ー2
2013年11月20日(水)
     『夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち』橘木 俊詔 (著)
   * 学歴の組み合わせは?
《 1000人にアンケート調査を行い、結婚相手の学歴、とくに大学名を挙げ、
どのラインを理想とするか、あるいは、ぎりぎり妥協できるかを問うている。
この調査から、日本の学校間格差、男女差、心理的な葛藤など、様々がわかる。
・まず中卒、高卒の男女で相手に大卒を望む人は非常に少ない。高卒女性では
大卒男性を望む人もいるが、そのなかで大学名にまでこだわらない人が大多数。
・男女差に注目すると、男性よりも女性のほうが相手の大学名にこだわる。
大卒男性は女性の大学は無名でよいという人がかなりいるのに対して、女性の
場合は自分の大学よりも名門度が高いか、同程度の大学の男性を望んでいる。
・「国立大・早慶上智クラス」卒業の女性の64%が同クラス卒の男性を理想と
しているし「MARCH(明治、青山、立教、中央、法政)クラス」卒、および
「成蹊・成城・明治学院クラス」卒の女性の過半数が「MARCHクラス」卒以上
の男性を理想としている。なぜ入学の困難な名門大学で学ぶ女性は、相手男性
も同クラスの大学卒であることを希望するのか幾つか考えられる。
難関校に入学する女性は少数派なので、自分に自信がある。自信があれば、
男性にも同等ないしそれ以上の大学を希望するのは自然である。一方で、
男性は劣等感を抱く可能性があるため、自分より格上の女性を避ける
傾向があるとされる。》
▼「東大」「旧帝一工(旧帝大.一橋大・東工大グループ)」「関関同立(関西、
関西学院同志社立命館)」「MARCH(明治、青山、立教、中央、法政)」の
色分けは、私の学生時代から、あまり変わらない。有り余る自由の中で、何を
していたかが大きい。としても大学は、それぞれの人生に大きな影響を与える。
血筋、大学、結婚相手のレベルで、人生が決まるか?というと、そうでもない
から面白い。しかし8割は大きく左右する。 毎年、中学、高校、大学の
同級会に出て感じる事は、進学するにつれ、世界が広まる奇妙な感覚。  
中学は駅周辺、高校は中越地区、大学は首都圏周辺と全国区へと広がる。
義兄に東大、一橋卒、中央・法科と、長岡商業卒がいる。姉は、大手高校、
ドレメ、実践女子短卒が二人。なるほど、その組み合わせが、そのままが、
その人となり?結婚相手の当たり外れかは、棺桶の蓋を閉めるまで分からない? 
結婚相手と両親、学校、生活の質(読んだ本と趣味の質・量)で多方が決まる? 
諸条件は、原因? 運もある?(★>Д<★)
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4266, 法則は思考のショートカット −1
2012年11月20日(火)
     「知っているようで知らない 法則のトリセツ」水野 俊哉 (著)
今さら法則もないが、しかし面白い本。 ーまずアマゾンの内容紹介からー
【 内容紹介: 巷にはさまざまな成功法則や戦略書がある。いったいどの
 法則が実際に使えるのか、そしてどのような場面でどんな法則を使うべきか、
迷ってしまうことも多い。そこで本書ではどれが有効か、ケース別、TPO別に
解説する。 ナポレオンヒルから行動経済学までを完全網羅!
 △ 世の中はこんな「法則」で回っている!
   組織には必ず20%の怠け者が存在する
   会議では自分の意見に反対する人は正面に座る傾向がある
   一度Yesと答えてしまうと後でNOとは言いづらくなる
   先延ばしした仕事は、処理に通常の2倍の労力を要する等 
   不安定な時代に知っておくべき法則」 がある。
   人生の「ショートカット」となる「法則」の数々が、この一冊に! 】
▼ ざっと概要は、こんなものだが、取り扱い方というより多くの知らない
 法則が各分野に多くあるのに驚いた。それらの法則を知っているか知らない
かは大きい。「法則の取り扱い方」の説明書より法則の紹介書。「法則」を
多く知り、用いることが出来れば、人生、数倍、いや数百倍も豊かに人生を
生きることが出来る。しないで済む苦労も事前に避けることが可能。
長い歴史の中で科学も人生も、ほとんど先人が既に経験済み。法則は、
それらを経験則として凝縮されている。それを知るほど、世界を広げることが
出来る。三年前に出版された本だが、過去に、このような本は数多あったはず。
多くの「法則」、知っていても本当に理解していたか?というと疑問である。
ここで法則を、職場関係と仕事の法則、ビジネス一般、心の法則、勉強の法則、
そして成功本の成功法則など分けている。半分近くは、これまで読んだりして
少しは知っていたが、全く知らない法則も多く紹介されている。
何気なく目次を見た中で「好意の互恵性」の法則があった。
「好きになると、好かれる。好かれると好きになる」とかいう法則である。
これも一方的に思い過ぎたり、思われ過ぎると逆効果になるが、ほどよく
人間関係に適用すれば、職場などの人間関係で有効になる。 
次回から、今まで知らなかった面白そうな法則を選んで紹介する。
・・・・・・
3891, 腰痛は、脳内システムの不全が原因
2011年11月20日(日)
  先日のNHKTV番組「ためしてガッテン」で、腰痛を取り上げていた。
腰痛について、ここで何度も取り上げてきたが、内容は、思わない展開であった。
大雑把にまとめてみると、<腰痛の痛みは、椎間板ヘルニアと思われていたが、
その痛みはストレスなどで脳内にある痛みを抑える脳機能の働きが弱ったためで、
犬や他のことに気を散らせると大きく改善する・・云々>という内容。
今でも半信半疑である。 
ーまず「ためしてガッテン」のHPの内容紹介を、箇条書にしてみるー
 ◎ 日本人の8割が一度は経験するといわれている腰痛が、実は
「国民的大誤解」があることがわかった。まず、「腰痛の85%が原因不明」。
 ◎ さらに、主犯と考えられていた椎間板ヘルニアさえ犯人じゃない?
町の人に尋ねると、半分の人たちがこの椎間板に原因で、ひどければ手術!
と信じていました。ところが、これが国民的大誤解。ヘルニアを切除して、
神経の圧迫が無くなったのに、痛みが消えない人。さらに、ヘルニアがある
のに痛みがない人が続々とみつかりました。「ヘルニア手術」をした場合と
「手術以外の治療」をした場合を比較しても、2〜10年で患者の回復満足度
に差がないことも明らかになってきた。
 ◎ そんなナゾ多き痛みに、50年に1度という大発見がありました。
それはなんと「脳」と「腰痛」の意外な関係。「犬」を飼ったら大幅に直った!
という事例がある。神経が、痛みに集中していたのが、犬に気持ち分散した
ためである。研究者が注目しているのが「脳」と「腰痛」の意外な関係。 
  様々な論文で、ストレスが高まると「腰痛」が増えることが指摘されて
いましたが、その理由は解明されていませんでした。福島県立医科大学が、
原因不明の腰痛患者の脳血流量を調べたところ、7割の腰痛患者が、健康な
人に比べて血流量、つまり脳の働きが低下していたのです。 アメリカの
ノースウエスタン大学がさらに詳しく調べると、活動が特に低下しているのは
側坐核(そくざかく)」という部分であることがかってきました。「側坐核
は痛み信号が脳に届くと、鎮痛物質を働かせる命令を出すと考えられています。 
これによって、脳は大きな痛みを自動的におさえていたのです。ところが、
慢性的なストレスを受けると、側坐核の働きが低下。鎮痛物質に命令が
いかないので、痛みがおさえられず、激痛を感じてしまうのです。
  ストレスが痛みの原因を作るのではなく小さい痛みを強めて激痛を
生み出すことが分かってきた。脳の鎮痛システムが働かなくなるので、
痛みが増加しているというのです。 
 ▼ 腰痛を47年も抱えてきた私にとって、まだ信じられない結果である。
 腰痛解消のため、30年前から早朝のウィーキングを続けており、二年前
からは低反発クッションと枕を取り入れたこともあり、重い腰痛は起こらなく
なった。そして、半年前からはスポーツジム通いで、更に改善をしている。 
それが、ストレスによる脳の働きの低下により重くなっていると、いう。
そんなものではない!というのが、私の現在の心境。しかしストレスは
万病の元である。ストレス無いのが一番のストレスというが。
・・・・・・
3526, 死に至る地球経済   ー2
2010年11月20日(土)
   「死に至る地球経済」 浜矩子 著
 ー今だ一番底に落ちてない世界経済ー
今だ、底に落ちてないのに二番底というのは矛盾がある。
来年から再来年に、一番底が来るのは流れからみて当然。
そして、その後に数年して二番底が来る。プライムローンなどの不良債権
は、まだ表ざたになされないまま、銀行、企業、そして自治体などに
塩漬けにされている。しかし、そのままにしてはおけない。
   ■ランダムに印象に残った部分を書き出してみた■
*「二番底」と言うが、問題がある。ここまでの地球経済は、しっかり
一番底に足がつかないまま、無理して舞い上がることを強要された恰好で
推移してきた。このリーマン・ショックをもたらした諸々の歪みを是正
され修正されるプロセスを貫徹されないまま、当座凌ぎの緊急対策で
経済活動を離陸させた。二番底というのは、失速し、谷に落ちた経済活動が、
一度は活力を取り戻して谷底から這い上がったのに、再び力尽きて谷に
落ちた場合である。今回のは、谷に落ちていく途中で、つかの間の踊り場
が人為的に繰り出されて一息ついた感じである。大底に向かっての小休止
に過ぎない。そんな小休止の踊り場はぐらついている。G20の「成長に優しい
財政再建」の苦肉の言い回しが、この厳しさを実によく言い表している。
* PIGSポルトガルアイルランドギリシャ、スペイン)は「豚箱入り」
* アメリカとPIIGSはキリギリスで、ドイツはアリ。
 日本は「アリの民間」と「キリギリスの政府」と喩えられ、「アリギリス」。 
 アメリカは、これからアリギリスを目指そうと言うが・・・
* 日本のお家芸は「量的緩和」と「金利引き下げ」である。
*「自国さえ良ければいい」的な通貨安競争は一時的には自国の利益を
増やすが、各国が密接に関連している世界経済では、巡り巡って自国への
強烈なカウンターパンチとなりかねない
* ガルブレイスの言葉、「政治は可能性追求の技にあらず。
それは選択の技である。 選択肢は、悲惨なるものと耐え難きもの。
二つに一つだ」(61-2頁) (字数制限のためカット 11年11月20日)
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3151、災害で助かる人、助からない人
 2009年11月20日(金)
 韓国の釜山の火災で日本の観光客が亡くなったり、浜松のマージャン店
火災で7人が死傷したが、色いろの現場で助かる人と助からない人が出る。 
一般的に地震や火災などに遭遇したとき、人はどのような心理状態で
行動するのか? まず、どちらが正しいか?という質問。
 1 地震や火事に巻きこまれると、多くの人々はパニックになる
 2 地震や火事に巻きこまれても、多くの人々はパニックにならない 
  答えは2という。 
 日本や欧米の研究でも、避難の指示や命令があっても、大部分の人間は
速やかな避難行動を取らないという。指示する側が人々に安心感を与える
ために状況の深刻さを軽めに伝え、その結果、手遅れとなることもある。
一般的には、実際の災害現場では幾つもの要因が偶然に重ならない限り
パニックなど起きないという。過去の大災害時に助かった人で一番死亡
しやすいのは年齢の高い「男性単身者」。逆に一番助かりやすいのは
「家族」で、行動を共にする人がいること。また若い人ほど生存確率は高い。
家族による信頼感と無償の援助、心理的な安心感が生存確率を二倍にも
高めるということ。マスメディアや近所つきあいの接触の多い人間は、
早めの避難行動を取る傾向があり、助かりやすく、また金持ちほど助かり
やすいデータもある。大金を残して死ねるかという執念があるからか。
状況判断が的確に出来るか、そして前もって災害の恐ろしさの情報があるか
どうかが分かれ目になる。 
 少し話は逸れるが、地震や大火災は、都市の時間的流れを強制的に進める
効果がある。神戸の震災は復興はしたが、経済的な後退感は否めない。
それは神戸が経済的には下降期にあったからだ。逆に関東大震災の東京は、
それを機に都市計画を整備し、震災以前よりも首都として成長することが
できたのである。都市が成長期の災害は一層の成長をし、衰退期の災害は
一層の衰退につながる。 人生も事業も同じようなものか。 飛行機事故で
数人助かった人の顔は、何か共通の異相をしているのにお気づきですか。
 :天声人語に以下のような文章があった; 
 警察によると、幅約1.4メートルの落石が駐車場フェンスを突き破り、
駐車場に停まっていたキャンピングカーを貫通した  
 (字数制限のためカット 11年11月20日)