* アタリの経済危機を考える 

NHKの連休の二日間のジャック・アタリのインタビューの内容が考えさせられた。
 二時間近い内容を、頭に残っているまま思い切って要約すると、
《 この経済危機の大きな要素は、ベルリンの壁の崩壊である。これは人類3千年かけて望んできた
(自由)と(個人)を最終的に獲得した画期的な大事件。その結果として、まずは経済のグローバル化が始った。
 それが市場原理主義と情報化がマッチして世界の流れになってしまった。
 しかし、それには絶対的なルールが必要であったが、アメリカの金融関係の連中が自分の利益を追求するあまり、
 ルールのできる前に金融工学とかいう美名を楯に世界中に得体の知れない金融債権をばら撒いてしまい、
 再起不能なほどの金融危機を起こしてしまった。
 その結果、今後10年、20年、30年と、大きな津波が押し寄せることとなった。
 第一の波は、アメリカ一極支配体制の崩壊(アメリカは、一極支配は捨てても、決して弱体化はしない。内向きになるだけ)
 第ニの波は、多極支配体制への移行
 第三の波は、グローバルな超帝国の波 ー市場そのものが帝国化して、国単位では規制不可能になる
 第四の波は、超紛争の波 ?あらゆる武器が開発され、誰もコントロール不能になる
 第五の波は、超民主主義の波 ー人々は利他主義に気づいて、その力が加速して結果として、プラスの流れが出る。
       アイデアは他人に与えても減るものではなく、むしろプラスの相乗効果が出てくる。
 世界の人は、自家用のヘリコプターを持っていても誰も賞賛しないが、持っている者を惜しみなく人に与える人を
 賞賛するようになる。それこそ、人類が求めていたもので、合理的利他主義という。
 紛争や、移動の簡易さで、ノマドといわれる遊牧の民が増えていく。
 ノマドにも三種類あって、?超ノマド=世界中を気楽に何処にでもいける人、?下層ノマド?バーチャルノマド=誰もがなれる
 が存在してくる。 第一から第四の波は、多くの痛みが出てくるが、その結果として、第五の超民主主義が出てくるというのが、
 楽観的といえば楽観的だが、それはインターネットが大きな役割を果たすことになるだろう。
 こうして要約すると、この流れは当然起こって然るべきことと納得できる。
 流れの背景は、やはり世界の人は「自由」と「個人」という言葉を獲得したのである。
 その最も有効に働いたのが、インターネット、携帯電話である。これは、どんな権力者も阻止できない流れとなってしまった。