2533, 人間魔界図鑑 
2008年03月11日(火)

この事業を始めて28年になるが親戚縁者は、一人も入れてない。
実家の会社で子供の頃から父と兄との葛藤や、親戚の従業員のイザコザを見てきたからだ。
親戚の場合、首を切りにくい。彼らは親戚の立場を利用しようとするから歪みが出るし、これほど使うほうからして、
タチの悪い相手はいない。その逆も言えるのである。立場違えば、これほど微妙な相手はいない。 
姉の舅も20年近く勤務していたこともあるが、・・・・ まあ、やめておこう。
次の文章が、人間の本性を辛らつに書き表わしている。
 ーー
 「金と口の出し方」
Pー25
「君はまだ若いから、わしの意見をきいておけば、何かの参考にはなるだろう。
わしはね、これでもずいぶんひとの面倒をみた。ぽんぽん金もやった。たくさんんの人間を一人前にしてやった。
ー君、君もすこしは人に知られるような人間になってみなさい。蟻やら蝿みたいな奴が、ウヨウヨとたかってくるよ。
そんな奴にかぎって、みんな面倒をみられ、金をもらい、一人前にしてくれるのを当然と思ってるな。
そうした意味でいちばん不愉快なのは、あかの他人より、知人親戚という奴だな。
わしがこうなるまでには、血の小便を出すほど奮闘した。しかし、むろんわしひとりの力とは思わん。
恩になったひとはずいぶんある。しかし、そういう知人親戚と称する奴とは何の関係もないな。
なかには、生まれてから、いちども顔をみず、名も知らなかったような親戚が続々と現れてくる。
叔母の従兄の細君の妹が嫁にいった先の義弟なんて連中だ。 あの安藤も、わしを叔父さんと呼んどるが、
その口だ。むろん、わしには一切合切みなたかるがままにしておいた」
「・・・・・・」
「ところがだ、それが、ちっともありがたがらんのだ。いや、ありがたがってもらいたくないが、
恩を仇でかえす連中が多いのだな。これをわしの不徳のいたすところなんて、
ていさいのいいことをわしはいわん。かんがえてみると、はじめからただで人にたかろうなど
という気を起こす人間は、所詮それだけの人間なんだ、むろん、それはそれでよろしい。
そういう連中にかぎって、あまりものにならん。そいつらはたかっただけの勘定を、
どこかでじぶんで支払うことになっとるようだが、それはわしの知ったことじゃない。
ただ、よくよく見ていると、はじめわしが金をやり、面倒をみてやったことが、
かえうて害をなしておるのだね。世の中はこれで通ると甘くみる根性をうえつけたらしいのだな。
そうと知ってからは、わしは一切無意味な金は出さんことにした。
人間は、自分のカだけで生きてゆくべきものだ」 「・・・・・・」
損得をいえば、はした金をやって悪口をいわれん方がトクだよ。しかし、わしもこの年になれば、
死んだあとで馬鹿者の悪口がのこることより、この世にじぶんの養成した馬鹿者をのこすことの方がいやだ。
ーしたがって、わしは、わしにちかづく人間はだれでも、その人間の値打ちだけの待遇しかせんのだ」、
                                 『極悪人』
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