ーサブプライム金融恐慌の構造と意義ー 伊藤 誠  −2
                        (現代思想ー金融恐慌特集)

ここで著者は二階の建物で、このサブプライムローンを分かりやすく説明している。
1Fが、借りてと貸しての間の第一次住宅金融市場をめぐる問題
2F が、一階部分で形成された住宅抵当権を集めて抵当担保証券として束ね、
 販売し取引する第二次市場の問題としている。
ここでは書かれてないが、隣のビルに格付け会社があり、隠れ通路でつながっている。
格付け会社の直ぐ上の階には保険会社があって、そこが保険をかけることで格付けを上げる仕組みになっている。
そして、それを世界の金融機関にばら撒いていったのである。
本人たちはプロの金融マンという自覚だったが、その実態は態の良い詐欺でしかなかった。
本人達の何割かは気づいていたが、とにかく歩合を稼ぐことしか頭にない連中であった。
特に世界を壊滅的にまでしたのは2Fにおいて重層的証券化をしたことに関わっていたことである。
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このように視覚化して、この問題を考えると分かりやすい。
この問題の性質の悪いのは、2Fの連中が、一階に御客を選ばず住宅を売りつけることを推奨したことである。
1Fのものにとって、誰でも良いといえばホームレスでさえ住宅を売りつけていった。
更に、住宅の値上がりを前提としえ、車のローンまでつけていたのである。
その毒に変わる可能性のあるサブプライム・ローンを、他の債権に一割の割合で混ぜて束ねて売ってしまったから、
他の9割の債権まで、腐った債権になってしまったことは、何度も書かれてきたことだ。
その債権は、世界中の金融機関、そして資産家、中産階級の資産運用として売られ不良債権化しつつある。
この金融恐慌は、世界恐慌に発展・転化するだろうが、「世界恐慌」を専門とする学者は、1929年の世界恐慌より
遥かに大きい者になるという。この恐慌は三年にわたり深化して、株価の暴落に続き、銀行恐慌の三次にわたる
波状的な大波に見舞われ、アメリカの全銀行の四割の倒産、失業率25パーセント、デフレスパイラル
世界農業恐慌、再建金本位制による国際通貨体制の崩壊、国際貿易の収縮、経済生活の崩壊をもたらした。
今回は、これに近い、いや、それ以上ではないかという恐怖が広がり始めている。
しかし、日本の巨大なバブルの破裂、アジアの経済危機、ITバブルの破裂に加えて、今回の経済危機でも
何とか大崩壊が現在でも免れているのは何故だろうか? 諸説あるが、今度考えてみる。

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