2月10日 1969年
 
昨夜のショックで、助手の横浜さんと会って話をする。自分の底の浅さを赤裸々に話すが、
普段は厳しい事をいう人が優しいのだ。誰もが持っている底を曝け出したことに理解をしたのだろう。
たまたま会った深井にも話すが彼も同じ反応だ。
この時期に誰もが持っていることでしかないのか。動揺をしているだけだ。それぞれが、
この時期精一杯なのだ。得たことより、得れなかったことに眼がいっているだけだ。
今日池袋駅で見た出来事が印象的であった。階段を手探りをしながら上っていた盲人に女の人が手助けを
しようとするが、拒否をしたのだ。見ていると、誰の手も借りずに歩くことを自分に課しているようだ。
その内面がそのまま出ているようだった。いまの自分に、あの姿が必要である