文藝春秋の12月号の特集 「世界同時不況 日本は甦えるか」−2

 ーまずは前回の対談の、続きの要所を抜粋する。

・なぜパーナンキFRB議長やポールソン財務長官がリーマンを破綻させたのか。私が思いつく最も説得力のある答えは、
 金融機関の不良債権を買い取らせるとうポールソン・プランを認めさせようとするショック療法だった。(竹森)
・三菱UFJ銀行から1兆円の融資を受けたモルガンスタンレーが、冬のボーナスのために六千億の金を用意しているという。
・そう簡単に次の機軸通貨は現われない。現に、円を除けば、他のどの通貨に対してもドルの価格は上がっている。
 但し、円だけはありあえない。
アメリカの国債を買うしかないのは日本だけしかない。オイルマネーは非常にケチ。中国には、その力はない。
・現在、アメリカは基本的に弱くなっている。しかし、日本はきわめて世界から見たら特殊な国である。
 端的にいえば、日本は千五百年間、一度も外国に侵略されてない。こんな国は他にはない。
 その意味で、これからは第二の維新・開国の時代を迎えている。
グローバル化によって、新興国は1960年代の日本の3,4倍の速度で近代化している。
 これからは、新興国の人から預金を集めて、中小企業にきちんと貸すリテール中心の銀行であり、
 彼らに買ってもらう安価なカラーテレビや自動車である。
新興国が消費の中心となると、従来の多機能、高品質、高付加価値の商品戦略は成立しない。
 日本が過って1950年〜60年代に手がけた安価な商品をつくって競争するしかない。
 生産技術の水準を落とすのではなく、多機能を止めて、価格帯を下げればよい。
・国内では、これまで手がけてこなかった、セクターに支援を行うべき、
 例えば地方であり、中小企業であり、農業を初めとする第一次産業である。
 農業といっても、農業土木ではなく、農業自給率を60%にするような本当の農業再生である。
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  以上だが、これらから考えると、一度徹底的に、近代資本主義を破壊して、ゼロからやり直す必要性を説いている。
 これほど情報機器が発達した現在、そこまで破壊した時に、立ち直れるかどうか疑問になる。
 しかし、一部の金融機関の連中を代表とする勝ち組とかいう質の悪い連中の淘汰は本格化するのは良いことである。
  この一連の金融危機は、世界恐慌の序曲であり、5年や10年では片付く事態ではないことは間違いない。
 企業サイドの経営の問題は、これから発生することになる。 まずは倒産の暴風と津波が果てしなく続き、
 失業問題、社会問題、国際間の争いが、波状的に押し寄せるのである。 

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