文藝春秋の12月号の特集「世界同時不況 日本は甦えるか 
               ー未曾有の経済危機の核心を七人のエキスパートがえぐる」を読んでみた。
 内容は、刺激的なことをオブラートに包んで語り合っているが、それでも大恐慌に突入したことを
 前提であるのが、興味深い。 もう堰は切れたのである。 面白そうなところを、書き出してみた。
   ーーー
   高橋洋一榊原英資/竹森俊平渡辺喜美/水野和夫/田村秀男/宮崎哲弥の対談で、
  1、「失われた十年」再び来たる   2、株安・円高地獄の脱出策は?
  3、「アメリカ金融帝国」没落す   4、GMトヨタに買われる日 の、分野で議論をしていた。
    印象に残った部分を書き出してみる。
   −−
 ・欧米で合わせて320兆円を超える公的資金投入は、人類が始めて経験する未曾有な経験
 ・アメリカのウォール街が主導して世界のGDPの十数倍の金融商品を作り出し荒稼ぎしてきた、
  金融工学と称するシステムの破綻と、借金漬けの消費帝国アメリカの終焉。
 ・その結果、アメリカという国は二度と立ち上がれないほどのダメージを負った。
 ・アメリカの貧困層に住宅ローンを売りつけ、彼らを丸裸にしてしまった。
 ・フォードやGMの社債は、額面の25〜30%を割っており、もはやジャンク債の域である。
  GMは毎月1000億の損失を出している事態になっている。
 ・アメリカが4割の下落に対して、日本は5割の下落である。
  その理由は、日本の利益の源泉が北米の輸出で、利益の5割を占めている。大雑把にいうと、
  それで5割の減益だが、アメリカの金融セクターの占める割合は4割。だから日本のほうが株価の下落が大きい。
・平時の市場、非常時の国家というのは、世界中のコンセンサスである。
 ・株価の下落は、日本の金融機関は株を多く持っているので、大きな痛手になる。特に地方では危ないところが多く出る。
 ・都市銀行も8千円を割ると、自己資本比率が10%を割ってくる。
 ・額面で54兆ドルもCDSがあるいわれている。これを時価評価をしたら、どれだけ損失が出るか、そこが見えない。
 ・欧州でも、ドイツ以外は殆どが住宅バブル。アメリカと大して変わらない事態である。 
 ・ハーバード大学のロボフ教授によると、深刻な住宅バブルが弾けたあとは、景気がピーク時の7割に戻るに5年はかかる。
 ・この事態は、世界中の先進国の経済を支えてきた中産階級が没落することになる。16世紀以来、繁栄を誇ってきた
  近代資本主義の時代がここで終わった世界的転換期である。
 ・世界はなりふり構わず対策を急いでいるが、日本は動きが鈍く、サブプライムローンなどの痛みは少なかったが、 
  最後は、被害が一番大きくなる可能性がある。
 ・日本が直面している問題の株安と、円高のダブルショックに対処するには、日銀がゼロ金利も視野に入れた利下げと、
  量的緩和を行うことが必要である。
 ・日本も政権交代がなければ、これまでの経済対策の繰り返しをしていくことになる。
 ・アメリカで金融バブルと、消費バブルが弾けたというが、円安バブルもはじけたのである。 
                                ー つづく
     −−−
     各人が、それぞれの立場で忌憚なく対談しているのがよい。
    2008年の9月15日の「リーマン・ブラザーズの破綻」が歴史の転換期になるのである。
    1929年の大恐慌では小さな銀行は多く潰れたが、ウォール街の主要金融機関は潰れなかった。
    僅かの期間で、これだけ潰れたのだから、いかに深刻な事態であることは自明。
    
  ・・・・・・・・