こういう微妙な時期には「産経新聞」と「毎日新聞」の論説の方が、読売、朝日、日経より筆先は鋭い。
サブプライムローンの、問題の深さを解りやすく説明しており、民主党のオバマのスタッフが、クリントン時代の
面々が返り咲き、国債の「奉価帳」を回してくることを予測する。 今度の緊急サミットも、そのために使われるだろう。
アメリカの消費バブルと、中国が生産バブル、そして日本が金利ゼロの金融供給のバブル、それが一挙に破裂したことを
解りやすく書いている。 一番の加害国のアメリカは、実際のところ、大恐慌になっても、ドルもアメリカ国債の価値が
失墜しても、あまり困らないのである。損失は紙代だけという穿った見方もできる。 困るのは、紙を溜め込んだ日本と、
中国、そしてアラブの連中だけ。だから、アメリカの脅しにのり、更に紙を引きうけ、セッセと生産品を送り続け泣けれ
ならないのである。 その結果、待っている事態は、戦争であある。 −まずは、その内容から
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*米次期政権頼れば 展望見失う 【経済が告げる】編集委員・田村秀男
2008.11.11 産経新聞・一面
「グローバル金融危機」とは面妖である。米低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)焦げ付きは
大きく見積もっても約30兆円にすぎない。1990年代に日本の金融機関が抱えた不良債権約100兆円の3分の1弱である。
なのに危機は世界に伝播(でんぱ)し、「100年に1度の大津波」(グリーンスパン前米連邦準備制度理事会=FRB=議長)。
米欧はすでに300兆〜400兆円もの公的資金投入を打ち出した。FRBはこの2カ月間だけで110兆円以上のドル札を
刷って金融市場に流し込んでいるのに、さながら砂漠に放水。なぜか。住宅ローン証券が金融商品に組み込まれて世界中に広がり、
まるでメラミン入り汚染食品のごとく価値を失ったからだ、との説明はつくが、国際通貨基金(IMF)の損失見積もり総額は
140兆円前後である。解決のメドは立ったはずなのに、株式市場はいつまた底が抜けるかどうかわからない。
消費も投資も動きを止めた。米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)は毎月1000億円もの損失を出し、
超優良企業のトヨタ自動車ですら年間で1兆円もの営業利益を減らす。中国では韓国や台湾系の工場の夜逃げが相次ぎ、
不安に駆られた出稼ぎ農民による暴動が相次ぐ。・・・・・ 危機の根源は世界の基軸通貨ドルを持つ米国の借金体質にある。
米国はドル建ての金融商品で世界からカネを集めてモノを買う。 世界が米国の消費増を見込んで設備投資し、生産を増やし、
石油価格をつり上げた。米国が金融バブルなら、日本などが資本財を輸出する中国など新興国は生産バブル。
そのバランスが「サブプライム危機」という針のひと突きで一挙に崩れた。
バブル主導繁栄モデルを超越する世界経済システムがまだ見当たらない。だからグローバルな市場に確信が戻らないのだ。
「米国には反省してもらわなければならない」(中川昭一財務相兼金融担当相)。その通りだが、米国人が借金をやめ、
消費しなくなったら、世界景気は縮小する。「変革」を唱えるオバマは一度も「諸君、借金体質を変えよう」とは言わない。
かわりに、消費の主役である中流層向け減税と大掛かりな公共投資を実行しようという。結果は家計に代わる官の対外債務増。
2009年度の米国債発行額は例年の約3倍、150兆円に上りそうだ。
オバマ政権の財政金融を仕切る有力候補はいずれも、米金融覇権のためには対外強権発動も辞さない面々だ。
クリントン政権の財務長官だったルービン、サマーズ両氏は1990年代後半、アジア通貨危機のとき、米国抜き日本主導で
基金をつくろうとすると、首相官邸に電話して断念させた。バブル処理に手間取る日本の蔵相を何度も怒鳴りつけた。
今度は「世界の安定のため」だと経常収支黒字国の日本や中国など新興国に米国債の引き受け要請という「奉加帳」
を突きつけるだろう。
15日にはワシントンで主要8カ国に新興国を加えた20カ国・地域による首脳会議が開かれる。
麻生太郎首相と胡錦濤中国共産党総書記は先の北京での会談で「基軸通貨ドル体制の堅持」に向け協調することで合意ずみだ。
当面の危機対策としてはやむを得ないだろうが下手をすると元のもくあみ。
今こそ「世界モデルのチェンジ」を世界最大の米国債保有国日本が唱道しなければならない。(編集委員)
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以上だが、この金融崩壊は16世紀に始った近代資本主義そのものの崩壊という人もいる。
それは数百年かかって築きあげた現在の中産階級の崩壊につながる。 そう現在、日本で起きつつある現象が
世界的に、より激しく生じることになる。 それこそ、イスラムのアッラーの神の望んでいたことである。
もし、そうなら5年や10年で混乱は収まることは無いことになる。私が生きているうちは解決は無理と覚悟をした方がよい。
現状を知れば知るほど絶望感が強くなる。 地球システムからの反撃の一つでしかない。
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