2003年10月01日(水)
910, 人生の縮図

 先日、ある世界を垣間見た。といって書くには、あまりにシビアな世界であった。
しかし、それを書くのが随想日記の真骨頂である。
ある売り物の物件を見にいった時の人生模様である。生々しい状態であった。
「あるリゾートホテルをどう転用したらよいか見てほしい」と頼まれた。
半年前に経営委託を受けた人が、支払いができないで逃げた直後。オーナーが嫌気をさして混乱しているという。

 現場に行くと数日前まで営業をしていたのが、ありあり。
給料2か月分をまだ貰えない行き場のないマネジャーや従業員が3人いた。
彼等はそこで働き出して半年、派遣会社の身分で、保障は全くないという。
現在の日本の姿が、そのまま現れている状況であった。

 これ以上の景観がない位の場所にあり、オーナーが半分趣味で建てた素晴らしいリゾートホテルである。
夫婦して80歳を過ぎた高齢の為、維持が出来なくなってしまったのだ。
実家の衣料ディスカウントハウスを五年近くみていたときは、そういう現場は日常茶飯事であった。
夜逃げ直前の現場から買い付けをする場面など、何回も経験してきた。
問屋を数十軒も回っていると、何処かで危ないという噂を聞く。
知らない顔をして平気で乗り込むのだ。安く良い商品のことしか頭がなかったからできたのだろう。

 しかし今の事業を始めて二十数年は全く無かった。
ー 違う形の人生模様は多くあったが、倒産という修羅場は無かった。
その当時はドライに割り切っていたし、深く対象を見る余裕など全くなかった。
しかし、この歳になるとその背後がよく見えるのだ。

 どんな時でも、弱者の立場に立ってはならないのが現実社会である。
自分が経験したこと以外は、何を理屈を言ってもイメージの世界でしかない。
可能な限り経験を積むしかない。中村天風でないが「積極一貫」で経験を積むしかない。
自分が経験した範囲で対象が見えてくるのを今回つくづく知った。
ここまで変化が激しい中で、変化に対応するためには、自分が変化の先端に立つしかない。
変化の拒否は自殺行為である。

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