「恐慌前夜」副島 隆彦 (著)  ー読書日記

 「現在の世界の経済は、世界恐慌と煽り立てていれば、近い将来必ず大当たりになるのは当然じゃないか」
  と言ってしまえば、それまでだが。この金融パニックはは2年や5年で問題の解決するほど浅いはない。
 「それでは我われ庶民は如何すればよいのか?」といわれても、どうにも答えられない。 
  せめて、銀行預金を金の現物に替えておくことしか考えられない。
  私の知人はケイマン諸島に5000万円の預金をしているという。
  この事態を見越して数年かけて準備をしていたのである。外国に金融関係の友人がいて、
  日本の危なさを知っていたのである。
   
ー以下、面白そうな部分を抜粋して考えてみる。
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*恐慌前夜、何に投資すればよいかー

 アメリカ発の《世界恐慌》は、もう誰にも止められない。
銀行の預金は、下ろして現物資産に置き換えるべきである。
地金か、カナダドルか、オーストリアドルにすべきである。アメリカドルは止めておいた方がよい。
金は現在、グラム3000円だが、3〜5年以内に6000円になるだろう。
不動産は、換金性の高い優良物件以外はやめておくべし。
原油高騰は、現在100ドルまで下がっているが、これは再び高騰するだろう。
こんど高騰を始めたら、250ドルあたりまでいくだろう。
そのまま放置すると、ハイパーインフレになるだろう。
 解)来年は間違いなく食品が暴騰しそうだ。暴騰をした時に、儲かる会社の株でもよいが、
   それが何か分からない。アメリカの金融の瓦解も、ここまで激しいと恐ろしくもある。
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 *中国も「一月危機」で崩れたー

 今年の1月21,22日以来の世界株総崩れの時に、中国の株が崩れて以来、元に戻してない。
上海総合指数は最高値の6000元以来、2000元まで暴落している。2010年の上海万博までは何とか持つだろう?が、
それから5年間は最悪の状態になり、2015年あたりから再び上昇するだろう。
中国の20年来の驚異的な急成長は、実は保有する米ドルとアメリカ国債を、もとにした信用が土台にあった。
現在の中国が保有する外貨は200兆円。その殆どが米ドルである。しかし、現在中国は密かに分散を始めている。
その対象として日本国債と円である。
 解)中国株も、底を確認した時が買いだろう。それより1年前の2014年辺りが買い時期だろう。
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 *すべての金融商品は「保険」から始ったー

ここまで時代が進んできて分かったことは、すべての複雑な金融商品デリバティブ
は実は保険商品だ、ということである。保険は生命保険と傷害保険に分けられる。
死んだ後に残された家族が困らないように、と入るのが生命保険だ。
人間の命を不確実な将来(いつ事故や病気で死ぬか分からない)に掛けて、
それをお金(5000円とかの大金の受け取り保険金)に替えるというものである。
同じようにして、いつ自分の船が敵国の大砲で沈められるか、海賊にやられるか嵐で沈むか分からない。
だから掛け金を掛けて備える、という観点から作られたのが損害保険である。
月々の掛け金は少額ないのだが、いざ事故が起きたら大金が入る。これが保険というバクチの仕組みである。
この将来の不確実性(アンサートニティ)を「リスク計算」してお金に替えたのが保険業(保険商品)というものである。
私たちはいつ死ぬか、殺されるか、事故に遭うか分からない。だから、その時のリスク(危険)を計算して、
それを「お金に替える」という手口をユダヤ商人たちが編み出した(創意工夫した)のである。
 解) この文章を読むまで、すべての金融商品の元が保険ということを知らなかった。
   死ぬか、事故にあうか、そのリスクを金に替えること、それが金融商品の元とはね〜
   それを詐欺もどきに世界中にばら撒いたのだから、パニックになるのは当然である。  
    現在が恐慌の前夜ではなく、恐慌の朝としてみると世界が違って見えてくる。
   恐慌は何度何度も、思いもよらない株価の下落と、大手の会社の倒産、そしてハイパーインフレ
   政治的な混乱が、波状的に続いた結果をいう。その大きな一波が既に去年から来ていたのかもしれない。
   それとも、具体的にアメリカの超大手の金融機関の破綻が始った9月15日なのか? やはり後者だろう。
   現在のスタンスは、成長、競争ではなく、生存の一点に絞るべきだろう。これは、会社も個人もである。
   持っている紙幣と、預金の価値が崩壊するのだから、全ての人の根本的な問題になる。
   それも弱者ほど影響が大きくなる。

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