2007年09月11日(火)
2352.ベナレス・・・8

6、輪廻と解脱の思想

輪廻と解脱という考えは、ウパニシヤッド聖典(奥義書)の中に最初に現れた思想である。
過去の善悪の業(もともとの意味は行為)が現在の果報を生じ、現在の業が未来の果報を
招くというように、われわれの生死は繰り返し続いていく。
古代の思想家の大半は、このような輪廻の世界に存在すること自体を苦であると考え、
いかにして輪廻の束縛から解放されるか、すなわち解脱できるかを最大の問題とした。
彼らにとつて解脱とは、自我の本質とされるアートマン(我)が宇宙を成り立たせている
根本原理、すなわち万有に遍在する力であるブラフマン(梵)に合一することである。
しかし、庶民一般にとつてはこのような思想はいささか難しく、普通は死後天界におもむくことと考えられている。
現在の生が過去の生の結果であるという考え方は一見宿命論的に思えるが、輪廻の大海で生死を繰り返すのも、
またその連鎖を断ち切つて解脱を獲得するのもすべては自己の行為にもとついている。
いわば執看を離れた努力主義精進主義こそが、ヒンドゥー教徒にとっての理想的な行動原理となつている。
解脱は日々の正しい行いの蓄積によつてこそ達成さる。

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輪廻と解脱。まあ、解りやすい因果応報の内容である。
この位の制約をつけておかないと、征服者の支配はインド大陸の中では
不可能なのだろう。宗教による縛りとは考えたものである。
これで3000年支配してきたのだから、奇跡といえば奇跡である。 

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