2007年09月08日(土)
2349.ベナレス・・・5
    多様なるインド世界ー

インドは日本のおよそ九倍にあたる三二九万平方キロメートルの面積を持つ。
これは西ヨーロッパの面積にほぽ等しい広さである。そこに現在十億を超す人びとが暮らしている。
多言藷・多民族の国家であることは言うを待たないが、宗教もまた多様である。
古代から育まれてきたヒンドウー教のほかに、仏教やジャイナ教が紀元前五世紀頃に
相次いで生まれた。紀元後ほどなくしてキリスト教が伝わり、ハ世紀には唯神アッラー
信仰するイスラーム教が本格的に到来した。
またヒンドウー教とイスラーム教双方の教義を批判的に融合したスィク教も十五世紀に興起する。
ヒンドゥー教と仏教は輪廻や解脱の思想を共有する、いわば兄弟のようなものである。
兄たるヒンドゥー教は古来からの儀礼やしきたりを守つてきたが、そのためさまざまな
迷信や俗信をも抱え込むことになった。一方、弟の仏教はそういう兄を理詰めで批判し、
外の世界に広がっていったが、インドでは十三世紀にイスラーム教徒の仏教僧院破壊を
機に、すたれてしまった。仏教がインドで復活するのは二十世紀半ばのことである。
インド亜大陸では現在でも宗教問の争いが絶えないが、それは主として政治的不安定に
起因する。庶民は心の底から平和を祈っているのである。

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解)
それにしても、3千年前にアーリア人がインドを征服した時に、地元民との混血が、
自分達の存在を脅かすと考え創った物語が三千年の時間をかけて白・赤・黄色・黒の人種の垣根をつくり、
それぞれが交わることなく現在に至っている。今でも露骨な人種差別ーカースト制度ーが社会を支配している。
人間は平等です? そんなことは有りえない! それはあくまで奇麗事という、インドの社会が正直に露出している。
考えてみれば平等などあるわけがない。それを実現しようとした社会主義こそ、そのウソ、建前を知らなかったのである。
優勝劣敗は哀しいことに、世の習いである。

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