2005年07月13日(水)
1562, わたしの酒中日記−14 
   ー岐阜の夜−2  1976年 7月某日

夜行で岐阜に来て、今日は丸一日市内を駈けずりまわる。肉体的には、緊張しているせいか疲れはない。
日曜日の店の売れ具合をみて、一度帰宅のあと3時間ばかり休んで、夜行列車の「佐渡」に飛び乗った。
夜行列車にやっと慣れてきた。枕木の音を眠るためのリズムとして聴くように努めてから寝れるようになった。
2歳年下の大森さんと一緒である。彼も私にしごかれて8ヶ月、やっと戦力になってきた。

朝の7時に岐阜駅に着く。駅ビルの地下の喫茶店で、モーニングサービスを食べて時間を過ごす。
そして、9時過ぎから問屋街を駆け回る。 仕入れのコツも9ヶ月も経てば解ってくる。
とにかく多くの問屋を回って情報を仕入れることだ。 それと大手の問屋とメーカーも大きな情報源である。
小野、岡庭嬢が今朝長岡を出発、東京から名古屋の問屋をまわって夕方にホテルのロビーでいきあった。
チェックインを一度して、何時もの「千成寿司」に行く。 彼女達も意欲的に仕事をする。

千成寿司は高校の時に、父の仕入れ見学の鞄持ちで来て、食事をした店である。
12~3坪の店に職人だけで5人もいて、いつも行列待ちをしている超繁盛店だ。
とにかくネタが大きくて新鮮で安い。普通の店の三倍のネタの大きさである。
こういう出張は、夜の食事とチョイ一杯をしながら仕入れの戦果の話が楽しみである。

店の仕事の終了後、夜行列車に揺られたあと、朝からの駆け足の仕入先まわりは、激務といえば激務である。
しかし、仕入れは買い手の立場であるから、面白いといえば面白い。
仕入れた商品が売れるか売れないかは博打的要素がある。当たるか外れるかは半々といってよい。それが面白いのだ。

今夏は、ジョーゼットの素材の花柄の婦人服が爆発的に売れている。
しかし、どこを探しても売り切れて商品がない。ところが、諦めかけた直後にやっと一軒見つけだした。
その小さな店の商品一軒分全て買い上げた。これで、今回の仕入れの大きな収穫が完了。
こういう日の酒は特に美味い。明日は、岐阜を終日仕入れをした後に、大阪と名古屋の問屋の予定である。

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