2286, LSDを一服した状態とは、どんな状態? −1
                    おはよー (((。・-・)从(・-・。)・゜
         
   植草甚一の「カトマンズLSDを一服」という本が面白い。 ただし、30年前の本で、
   著者もこの本を出した直後に亡くなった。  しかし内容は、朽ちてはいない!

    「植草甚一スクラップブック」の一冊でNO/11になるが古今東西植草甚一の読んだ麻薬に関する
    記事・文献などが話題になっている。図書館で借りてきた本だが面白そうなので、ひととおり目を通して、
    中古本だが、直にアマゾンで注文をいれた。 麻薬のトリップに対して興味がある。
    しかし麻薬をまさか使うことは出来ないし、中毒になったら取り返しがつかない。
    といってバッド・トリップやグッド・トリップの状態を経験してみたい誘惑もある。
    まあ、死ぬ直前の楽しみにしておいた方がよい。ならせめて、どういう状態なのか、
    知識として知りたくもなる。 手元に何冊か、その状況を紹介した本がある。

私の枕元にはトリップの状態に近づける音楽のCDのセットがある。
買って10年近く、寝る前などに聴いてきたが、そのためか寝つきが非常によい。
酒を飲んだホロヨイの気分と同じである。私の場合、秘境旅行や、酒席などの盛り上がりなど、
至高体験を数多く経験してきたので、少しアルコールを飲んだり、寝る前の音楽で、
直にトリップしやすい蓄積がある。 体質的に脳内には回路が出来ている、ということ!
その体験の倉庫に入るようにすればよい。

    以下は、この本の冒頭に出てくる心理学者ジュラール・ボルの「麻薬への旅」の中の一節である。
    麻薬のトリップの状態を書いた本を何冊か持っているが、どれも似ている。
    ともかく、面白く解りやすいので紹介しておこう。
   ーー1967年10月から著者ボルの2年間の経験談であるーー
 
ーーー        p・12~13「カトマンズLSDを一服」
 ネパールではハシーシを政府が許可しているし、1?の値段が150フラン前後
(ヨーロッパでは五十倍の値段)なので、ヒッピーの顔ぶれは変るが、いつも400人ぐらいいるそうだ。
力トマソズには彼らの連絡場所になっている「リトル・チペタソ」というチベヅト人経営の小さな
キャバレーがあるが、ある日のことリーというアメリカのヒッピーがLSDを持ってやってきた。
そうしてカトマソズの谷間の平地に仲間たちと「ヒヅピーラソド」と名付けた
小コミュニティのテソト生活をはじめるのだが、夜の十時ごろ、
みんなしてカプセル入りのLSDを少量の水で飲んだときの経験を、著者ポルは書きはじめる。

 暗い夜で、キャンプの焚火が赤い。遠くにヒマラヤ山脈の輪郭が見える。
みんな声を出さないでLSDが効きはじめるのをジーッと待っている。夜の静寂さ。
二十分したとき、耳のうしろの首筋が急に熱くなったかと思うと、舌ざわりが金属的になった。
まだ効果はあらわれないし、意識は平常どおりだ。 すると始まったなと思う感覚の変化。
神経が局部的にピリッと硬直し、その瞬間はロではいえない異常な現象がおそいかかった気持である。
いろいろなLSD体験記から想像していたのと同じ状態であって、自己が解体し、
まわりの知覚世界に溶けこんでいく。 それがすこしたつと、こうなった。
 
 焚火を見ていると、その火のなかに、ぼくがいる。ぼくは火なんだな、いや火の向うに存在しているようだ。
というのは火や明りや影が、ぼくの思考や意志に服従するように動いているからで、まわりの世界を、
ぼくが上からフタをしているような気持になってきたからである。
それなのに、ぼくとは違ったものなのだ。まわりのすべてと同じものになっていく。

 と同時に余計だと思う漠然としたものが、仮面をかぶったように引っこんでしまった。
そうして宇宙的になりはじめた精神的内部の知覚作用。いろいろなものが重って見える。
その重なりかたの度合が強烈な作用をもっていて、たがいに矛盾するかと思うと無限の連想へとみちびいていく。
そのときレコードをかけた者がいて、チベットの宗教音楽が流れてきた。

 すると意識がより複雑になり、その音楽は、ぼくが作曲したものではないか、
なぜならばくの体内から生まれてきたようだし、ぼくの思考と厳格に一致しているからだ。
単調だが美しく流れていく音楽は、ぼくなのである。
一つの音が、つぎの音になるまでにハッキリと分離して耳に入ってくる。
ぼくと周囲との溶解状態が、さっきよりずっと完全なものとなった。

 ハシーシやメスカリンが効きだしたときのように、しぜんと目ぶたがふさがる。
すると音楽が目に見えてきた。一つの音が明りで書いたようになり、キラギラと飛び散る。
無限に大きい万華鏡のまんなかにいるようだし、ある音が、ほかの音よりも強く、
ぼくのなかで反響し、それが後頭部や胃のあたりをシピれさせ、
打楽器の音が強烈な電気ショックのように全身を飛びあげるようにするのだった。
 
 ぼくは手を見る。それは歪んだり、大きさや色の具合が変化したりする。
そばにいる仲間の顔を見ると、小さなダイヤモソドがちりばめられていてピカピカと輝き、
とても美しい。ぼくは目を閉じる。するとまた心の奥ふかくへと落ち込んでいく。

 自己と別世界との溶解。 非現実の現実的な知覚状態。これは,「シュールモア」(超我)と呼びたい。
そのときの解放感は、口ではいえないくらい気持を昂揚させる。
道徳的な規準といったタブーのすべてが取りのぞかれてしまうのだ。
そうした宇宙をなにかのシソポルや連想や知覚の種類や合理的なイメージで説明しようとしても、
文字や言葉は単純化された嘘になるだけである。ただあとで考えたことだが、人間というものは、
いかに不条理で憐れむぺき存在か、歴史や文化の発展のなかで「権力」に支配されて生きてきたのだ。
そこから解放されるものがLSDだということはハッキリといえるのだった。

 そのとき誰かの笑い声がした。なぜ笑ったのだろう。
それは、ぼくが四十年間というもの、無知だったことを笑っているような気がする。
三十人くらいの仲間が、誘われたように笑い声を出し、ぼくもいっしょに笑いだした。
以上は「麻薬への旅」の、ほんの一部の紹介だが、LSDの研究は、ますます興味ぶかくなってきた。

    ーーーーーー
    テリー伊藤の「死ぬまでのあと一週間あなたならどうしますか?」という本があった。
    今だけを捉えるなら「一週間、LSDを飲みまくる!」だろう。
    いや、私の場合ガンで死ぬだろうから、痛み止めで・・・ 

   「・・・自己と別世界との溶解。 非現実の現実的な知覚状態。これは,「シュールモア」
   (超我)と呼びたい。そのときの解放感は、口ではいえないくらい気持を昂揚させる。
    道徳的な規準といったタブーのすべてが取りのぞかれてしまうのだ。・・・」
   これは・・・秘境などの絶景を見て感動に打ち震えている状態と同じである。
   一度、味わったら中毒になってしまう!これは。 いや、廃人になるだろう!
                     ーつづく   ヾ(・ω・`)ノバイ
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