最近、ユダヤ教キリスト教イスラム教などの一神教に対して疑問を持ち始めた矢先に
   図書館で、この本を見つけた。 この3つの宗教の元はユダヤ教で、共通の唯一の神を信仰している。
   それがお互いに憎しみあい殺しあっているから、複雑なのである。 早く言えば民族戦争なのである。
 ー概要を解りやすく箇条書きにすると、
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・元祖であるユダヤ 教は、迫害されて逃亡した奴隷たちの宗教、迫害され差別された人々の宗教のために
 恨みと復讐心がこもっている。
 被害者は、その被害をより弱い 者に移譲しようとすることで被害者の劣等感、屈辱感を補 償しようする。
 他人を同じように不幸にして自分を 慰める。  
・差別された奴隷たちがモーゼに 率いられてエジプトから逃亡する過程で形成された「民族」として
 ユダヤ人となり、ユダヤ教自体も、その逃亡過程でエジプトのアトン信仰の影響を受けながら、
 純粋な一神教へと形成されていった。
ユダヤ人の中でさらに差別されていた人たちを救う宗教としてイエスキリスト教をつくった。
 そのキリスト教が、ローマ帝国の奴隷、下層民に受け入れられ、ローマ帝国の国教となり、
多神教を信じていたヨーロッパ人もまた、ローマ帝国の圧力でキリスト教を押し 付けられて、
 心の奥底で「不幸」を感じた。そのため一神教を押し付けられた被害者のヨーロッパ人が、
 自分たちが味わっている不幸と同じ不幸に世界の諸民族を巻き込みたいというのが、
 近代ヨーロッパ人の基本的な行動だったのではないか。
・欧州で差別された人々が新大陸に逃げ込んで、その先住民へ攻撃と迫害などをしていった。
 そこで造られたのがアメリカという国。つまりアメリカは被差別の最終駅になる。
 だから潜在意識の中で人類を恨み、攻撃的になり、非常に強くなった、という。

・ヨーロッパ人が、人種差別に基づく残虐性を発揮して世界制覇を果たしたのは、
 強烈な被害者意識があったからだという。
 それをもたらしたのは、白人の始まりが白子で、
 そのために黒人からアフリカから差別されて追われたことと、
 ローマ帝国に無理矢理キリスト教を押しつけられたことだという。
多神教の日本も欧米の圧迫に耐え切られなくなり、
 唯一絶対神という天皇制を発明した。
 近代天皇制は一種の一神教、擬似一神教として、外に戦争を仕掛けるようになった。

人類の不幸を被抑圧民族の連鎖という神経症として論じている。
これがル・サンチマンである。

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