2月8日 1969年

小林が寮に約束どおりに訪ねてくる。
彼と話しているうちに、若さとエネルギーの新鮮さに感化されてしまった。
私の卒論を見せると、構成のいい加減さをつかれる。昨日日以上にショックであった。

一年がかりに書いた卒論も、基礎と基本のいい加減さを見透かされた。
自分の為の自分の作文でしかなかったのか。根本からやり直すことは今更むりである。
先日の反撃をしたかったのだろうが。

いま気がついたことは、破ったと信じていた殻から、全く出てなかったことだ。
友人の批判に耐えられないレベルということか。
批判者は批判者で気にすることはないが、しかし隙をつかれてしまった。
動揺が一日一日と激しくなる。卒業間近というのに。いや間近だから動揺しているのだ。

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